日本でオンラインカジノはグレーでは無く違法(写真提供/イメージマート)
2022年6月の国会で岸田文雄首相(当時)は、スロットやバカラ、ブラックジャックなどが開催されている賭場にネットで参加できるオンラインカジノについて質問され「オンラインカジノ、これは違法であります」と明言したのち、「関係省庁が連携をし、厳正な取締りを行わなければならない」と答弁している。その取締り状況がすすんだということなのか、近ごろ、芸能人やスポーツ選手などの著名人が、オンラインカジノに関係した事情聴取を受けたなどと伝えられている。ライターの宮添優氏が、疑惑が大規模になりそうな気配のわりに、あっさりした取り上げ方にならざるを得ないテレビ局の制作事情をレポートする。
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プロ野球選手や五輪出場選手などの一流アスリートや、人気芸人たちが関与したとされる違法な「オンラインカジノ」。海外の現地で合法な事業者が運営するカジノであっても、日本からネットで参加して賭博をすると違法になるというもので、これまで検挙事例はあったものの取締りは散発的に見え、事実上の無法状態と受け取られてきた。だが、今後はそうもいかないようで、先んじて、一部のアスリートや芸能人たちが「名指し」で報じられ、それぞれ謝罪や謹慎に追い込まれるなど、小さくない影響が出始めている。
さらに、既に事実を認めた人たち以外のアスリートや芸人たちにも「オンカジ」関与の疑いが出始めている。とはいえ、今のところ逮捕されたり起訴される事態にはになっていないためか、日本野球機構(NPB)は、実名報道され球団から処分された選手について「非常にかわいそう。短い選手生命ですから、きちっと活動させてあげたい」と、半ば庇う姿勢を見せ、関与が疑われる他の選手については「非公表」とした。
当事者とその周辺は当然、穏便に済ませたいところだろうが、その願いはかなわないようで、芸能界はもちろん、サッカーや相撲など、他のスポーツ界にもこれらの余波は及んでおり、各所で調査が進んでいると伝えられている。多少の金と暇がある人であれば「誰でもやっているんじゃないか」となってしまっている状況に、警察やSNSも含めた世評がブレーキをかけようとしているようだ。ところが大手メディアでは、オンラインカジノ問題については、なんとなく及び腰で距離をとった扱い方をしているように見える。この独特の雰囲気について、民放キー局の報道デスクが声をひそめる。
「特にテレビワイドショーなど、普段なら大騒ぎするはずなのに”オンカジ”では追及が極端に甘い。それは、相手方が”お得意様”であるプロ野球界だからとか、超大手芸能事務所ばかりだから、というわけではありません」(民放報道デスク)
実は「オンカジ」が問題視された直後、関与したスポーツ選手や芸人より、その責任を問われたのが、一部のテレビ、ラジオ局などの大手メディアだった。