7回も待機でケガのリスクが高まる
阿部監督は投手陣にも新構想を打ち出した。中日の守護神・マルティネス(28)を獲得した当初は、新人時代から3年連続でクローザーを務めていた大勢(25)を8回に回す方針を示していた。ところが、2月末になって大勢を「7回か8回」と方針を変えたのだ。
「7回には、4年連続50イニング以上を投げている高梨雄平(32)、昨年22ホールドで新人王に輝いた3年目の船迫大雅(28)、昨季の大勢と勝利の方程式を形成していた元阪神のケラー(31)らが控えていますが、外国人枠の問題や相手打順に柔軟に対応するため、大勢に7回も視野に入れた調整を命じることになった」(前出の巨人担当記者)
阿部監督から伝えられた大勢は「初めてのポジションだがベストを尽くす」と快諾したとされているが、新たな懸念が浮上する可能性があるという。スポーツジャーナリストはこう言う。
「大勢がクローザーにこだわる理由の一つに、毎年のようにケガに苦しんできたことが背景にあります。2年目は6月に右上肢の故障で長期離脱し、3年目の昨季もキャンプ中に右ふくらはぎ痛で帰京。開幕後も5月に右肩の違和感で2か月ほど戦線を離脱しています。
勝ちゲームの9回に登場するストッパーは逆算してブルペンで準備をやりやすいですが、8回を任されるセットアッパーは僅差や同点の場面など状況によって登板を強いられるためストッパーより準備が大変です。そのうえ7回か8回に登板するという体制になれば、試合展開を見ながら何度も肩を作らざるを得ないので、さらに待機時間が長くなる。ケガのリスクが懸念されるのではないか」
3月8日のオリックス戦では7回に登板。打者を三者凡退に抑えたものの、試合後に「(投げ終わりの)ギャップがすごかった」と口にした。巨人でピッチングコーチの経験もあるOBのひとりは、こんな提案をする。
「大勢はルーキー時代、実力でビエイラ(32)からクローザーの座を勝ち取った。それから3年連続でストッパーとして活躍し、通算80セーブを挙げており、貢献度も高い。そうした背景も考慮すると、6年連続40試合に登板のタフなマルティネスを7回と8回に回し、大勢を9回に投げさせるという選択肢も考えられるのではないか。ケガのリスクも少なくなるはずです」
巨大戦力であるが故に、この先も阿部巨人の布陣は開幕までには二転三転しそうだ。