福祉に関わるルーツがあった

福祉に関わるルーツがあった

 

幻に終わった「テレ東」再就職プラン

 現在は多くの局アナがフリーに転身する“戦国時代”だが、亀井アナが退社した当時は「大御所の人しかフリーアナウンサーの肩書きを名乗れなかった」という。

「私は3年でやめたから、フリーアナと名乗るのは恐れ多かった。それでも、テレビ東京時代に出会った方々は、今もすごく優しく声をかけてくださる。先輩の松丸友紀アナ(43)と前田真理子アナ(44)とは毎月「定例会」をしていて、今は完全にタメ口です(笑)。

 テレ東時代の経験は、人生の財産です。当時はアナウンサーの人数自体が少なくて、私も会社同期のアナウンサーが私1人だけだったんです。だからジャンルを問わず、経済もバラエティもスポーツも、様々な挑戦をさせてもらいました」

 アナウンサーの仕事は、表舞台に出るのは仕事のうちのほんの一部で、世間のイメージと反する「裏方の仕事」がほとんどだったという。

「もともとテレ東って、開局当時は記者など一般職採用からアナウンサーになるという流れがあったそうです。。その伝統なのか、アナウンサーが取材を一生懸命するという文化があり、そういう先輩がとても多かった。私も、夜通し勉強して挑んだインタビューで、相手からいいものを引き出せた時に、なんとも言えないこの仕事へのやり甲斐を感じました。その知識のおかげで貴重な一言を聞き出せたとか、そういう地道な努力を喜ぶ文化がありました。

 例えば経済なら大江麻理子アナ(46)、スポーツなら大橋未歩アナ(46)と、皆さん本当に仕事にストイックなんですよ。大橋さんは台本にびっしりメモをしていて、番組終了後の大橋さんに『台本をください!』とお願いすると、嫌な顔せず渡してくれました。今はそういう偉大な先輩に恵まれて、改めてよかったと思っています」

 強すぎる「テレ東愛」から、テレ東のキャリア採用試験を受けることを本気で検討したこともあるという。

「退社して5年後くらいたった時、テレビ東京に本当に戻りたくて、『キャリア採用試験を受けたい』と当時の事務所に相談したんです。『落ちたらテレビでネタにできる?』と聞かれて、思いがガチすぎてネタにできないな……と思い、結局受けなかった。今からでも、長年の主婦の経験を活かして社食のスタッフをやりたいくらいです(笑)」

 現在は吉本興業とマネジメント契約を結ぶ亀井アナ。アナウンサーとしての活動も精力的にこなす一方、同じ事務所に所属する芸人の“芸風”にも驚きを覚えたという。

「福祉芸人さんとか、介護芸人さんとか、私が知らなかったジャンルの芸人さんがたくさんいる。芸人さんたちは現場のエピソードを、相手に敬意を持ちながら、楽しく明るくお話されるんですよ。

 そういう人たちを見て、カッコいいなと思った。『WOOOLY』さんと一緒に仕事をさせていただくのも、そういった重くて苦しい話を、明るく楽しく共有したい、明るいノーマライゼーションの社会づくりに貢献したい、と思っているからです。今後、そういう仕事ができることを楽しみにしています」

 当時の経験を財産に、社会に貢献できる仕事を——亀井アナの新たな挑戦には、キャリアの多くが詰まっている。

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