国内

《親子盃を交わして…》沖縄の指定暴力団・旭琉會「襲名式」に潜入 古い慣習を守る儀式の一部始終、警察キャリアも激高した沖縄ヤクザの暴力性とは

旭琉會二代目会長の襲名盃に独占潜入した。参加者はすべて総長クラス以上の幹部たちだ(撮影/鈴木智彦。以下同)

旭琉會二代目会長の襲名盃に独占潜入した。参加者はすべて総長クラス以上の幹部たちだ(撮影/鈴木智彦。以下同)

 暴排条例による規制強化が進んだ今、暴力団の大がかりな行事そのものが珍しくなったという。そんななか、沖縄で暴力団にとって最大の儀式である「組長の襲名式」が大々的に行なわれた。暴力団の置かれた現状や警察との関係性を知る上で重要な場面に、ヤクザ取材の第一人者である鈴木智彦氏が潜入した。

 * * *
 2月8日朝、那覇市内から幹部の車に同乗し、二代目旭琉會・糸数真会長の二代目継承盃が執り行なわれる本部(北中城村)に向かった。門扉に続く脇道付近には、警察車両が7~8台停まっており、カメラを抱えたマスコミの姿もあった。

〈県警は捜査員ら数十人態勢で付近一帯の警戒にあたり、解散までの数時間、周囲は緊張が走った〉(2月9日付、琉球新報)

 地元紙はそう強調するが、800坪を誇る敷地には高級車が押しよせ祝賀ムード一色だ。

 14年前……2011年11月の初代富永清会長就任及び親子盃は、新生旭琉會の発足式でもあった。骨肉の抗争を繰り広げてきた四代目旭琉会と沖縄旭琉会が一本化するため厳重な警戒で150人の機動隊員が動員された。加えて暴排条例で会場が借りられなくなり、急遽幹部の自宅でゲリラ的かつ深夜に開催されため物々しい空気だった。警察は煌々とサーチライトを焚き、幹部や組員に入念なボディチェックを行なった。

 今回の二代目体制発足に特別な事情はないが、跡目継承は組織最大の懸案事項である。代紋頭と呼ばれるトップは絶対権力者で、「親分がいえば黒いカラスが白くなる」世界なので権力闘争が起きやすい。

「だから旭琉會は初代の富永会長が逝去してから代表職を新設し、5年間跡目を決めなかったのだろう。その間入念に根回しし、徹底的に調整したに違いない」

 友好団体幹部はそう解説する。旭琉會幹部に訊くとこう返答があった。

「ヤクザにとっていっそう厳しい時代が来る。トップになって私腹を肥やそうとする人間ではなく、なにかあれば手弁当で組織に貢献する人間でなければならない。それに力を持った一派の意向が筋になるなら、親分連中は『殺せ』しか言わなくなる。果たしてそれでいいのかとゆっくり話し合った」

関連キーワード

関連記事

トピックス

被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
フジテレビの取締役候補となった元フジ女性アナの坂野尚子(坂野尚子のXより)
《フジテレビ大株主の米ファンドが指名》取締役候補となった元フジ女性アナの“華麗なる経歴” 退社後MBA取得、国内外でネイルサロンを手がけるヤリ手経営者に
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと住所・職業不詳の谷内寛幸容疑(右・時事通信フォト)
〈15歳・女子高生刺殺〉24歳容疑者の生い立ち「実家で大きめのボヤ騒ぎが起きて…」「亡くなった母親を見舞う姿も見ていない」一家バラバラで「孤独な少年時代」 
NEWSポストセブン
6月にブラジルを訪問する予定の佳子さま(2025年3月、東京・千代田区。撮影/JMPA) 
佳子さま、6月のブラジル訪問で異例の「メイド募集」 現地領事館が短期採用の臨時職員を募集、“佳子さまのための増員”か 
女性セブン
〈トイレがわかりにくい〉という不満が噴出されていることがわかった(読者提供)
《大阪・関西万博》「おせーよ、誰もいねーのかよ!」「『ピーピー』音が鳴っていて…」“トイレわかりにくいトラブル”を実体験した来場者が告白【トラブル写真】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン