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《各局の現在地が鮮明に》“放送100年”の日に見えたフジテレビの危機 ブレないテレ東、“実より名を取る”テレ朝 

放送100年という記念の日に各局では、さまざまなジャンルの特番が放送される(写真/PIXTA)

放送100年という記念の日に各局では、さまざまなジャンルの特番が放送される(写真/PIXTA)

 3月22日は“放送100年”という記念の日。各局で放送される番組を見ていくと、それぞれの現在地が鮮明に見えてきた。そして、放送自体の現状と課題とは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。 

 * * * 
 1925(大正14)年3月22日にNHKの前身・社団法人東京放送局が日本初のラジオ放送を開始してから今年で100年の節目を迎えます(ちなみにテレビ本放送の開始は1953(昭和28)年2月1日)。 

 100年という記念すべきタイミングだけに、当日のゴールデンタイムでは各局でさまざまなジャンルの特番が放送されます。 

 まずNHK総合では『放送100年 時代を超えて 3世代が選ぶあの番組』(19時30分~20時55分)を放送。3世代1万人に「もう一度見たい番組」のアンケートを行い、歴代アナウンサーらとともに振り返っていくという内容が予定されています。 

 民放ではテレビ朝日が『芸能人格付けチェック BASIC~春の3時間スペシャル~』(ABC制作、18時56分~22時)、TBSが『世界ふしぎ発見!春の3時間スペシャル』(18時51分~21時56分)、テレビ東京が『出没!アド街ック天国 祝!放送1500回☆アド街の30年BEST30』(18時30分~22時8分)、フジテレビが『みのもんたさん、ありがとう!元祖スポーツ珍プレー好プレー大賞昭和100年SP』(19時~23時10分)を放送します。 

 大きな節目の日だからなのか、各特番の内容から、各局の現在地点、さらに“放送”自体の現状が鮮明に表れていました。 

際立つNHKの自由な番組制作 

 NHK総合の『放送100年 時代を超えて 3世代が選ぶあの番組』は、いかにも公共放送らしい企画。「全世代を対象に放送の歴史を振り返る」という、良く言えば王道、悪く言えばひねりのないコンセプトには「視聴率やスポンサーに左右されず自由に番組制作できる」という強みが表れています。民放が視聴率の低下に伴う放送収入減に苦しみ、番組制作の自由度を失いがちな中、NHKは数字や評判を気にしすぎることなく、そのマイペースさは近年より際立っている感があります。 

 テレビ朝日の『芸能人格付けチェック BASIC~春の3時間スペシャル~』は、民放の視聴率獲得レースでトップを狙う同局らしい選択。18日に放送された『日本のお菓子総選挙』なども含め、「とにかく視聴率が獲れる特番から順に放送していこう」というシビアな編成スタンスがうかがえます。 

 ただ、「特番は幅広い年齢層を狙う一方、レギュラー番組のターゲットが高齢層に偏っている」という課題には手をつけられておらず、収益性では他局に及ばないという矛盾した状況は変わっていません。そのため「実より名を取る」というビジネスとしては微妙な立ち位置が続いています。 

 TBSの『世界ふしぎ発見!春の3時間スペシャル』には「バラエティの整理中」というニュアンスを感じさせられます。このところゴールデン・プライム帯で最もバラエティの出入りが激しいのは同局であり、今春も新番組の『ニノなのに』『ドア×ドア クエスト』がスタート。TBSの財産とも言える『世界ふしぎ発見!』もレギュラー放送を終了させ、ここぞの特番として有効活用するなど、バラエティ全体の再構築を行っている過程なのでしょう。 

 同時にそれは同局の課題がバラエティであることの証。日曜劇場を筆頭にドラマは他局の先をゆくなど順調で、配信での収入増も視野に入っているからこそ、バラエティで放送収入を得ていきたいところでしょう。 

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