外国人向けの看板も
大久保公園周辺で立っていた女性が店舗へ
摘発された店舗で働く女性たちは「歌舞伎町」という土地柄ならではの集め方がなされていたという。
「須藤容疑者は、大久保公園周辺で売春の客待ちをする女性を自らスカウトしていた。自転車で大久保公園を回って、女性たちに『立っているのは寒いし、うちの店で働かない?』と声をかけていたのを見ました」(同前)
『ルポ 新宿歌舞伎町 路上売春』の著者で客待ちをする女性たちを取材してきたノンフィクションライターの高木瑞穂氏が言う。
「昨年10月に立ちんぼの一斉摘発があってから、赤いベストを着た警察官が2日に1回は巡回し、私服警官の数も増えました。その点、訪日客は警察ではないと類推できるから女性にとって安心してお客にできるようです。最近は多くの立ちんぼ女性が店舗にも在籍するようになりました。店での空き時間を使って公園に立っているのです」
こうした外国人観光客をターゲットにした風俗店は歌舞伎町だけではないようだ。
「インバウンドという言葉が使われるようになった2010年代の初頭には、各地の風俗店は『外国人お断わり』を掲げ、入店を制限していました。それが最近はめっきり減った。むしろ外国人観光客による売り上げをあてにするようになりました」(同前)
ルールが厳しいとされる日本最大の風俗街、東京・吉原でも変化が生じているという。
「吉原にも外国人観光客向けのコーディネーターがいて、慣れていないとわからない手順をサポートしています。『外国人可』の店に案内しますが、最近は訪日客を受け入れない店のほうが少ない。歌舞伎町には『日本人お断わり』を謳う店まで現われたと聞きます。同様の現象は全国に広がっているとされます」(同前)
今回摘発されたインバウンド向け風俗店は、氷山の一角かもしれない。
※週刊ポスト2025年3月28日・4月4日号