宮西詩音容疑者(左から3人目)に襲われ、負傷した「NHKから国民を守る党」の立花孝志氏(右端)(時事通信フォト)
公安3課が対象とする新たな脅威
「ローンオフェンダー型の不満分子は、ネットを見て爆弾や拳銃を作ったり、動物を殺したりするタイプが多いようだ」と元公安関係者はいうが、「その動きを事前に察知するのは困難」とこぼす。右翼や左翼、過激派、オウムなどに分類され、マークされていた不満分子と違い、ローンオフェンダーはそのどれにも当てはまらず、存在が不明。これまでのカテゴリーに属さないような不満分子を元公安関係者は「今までに無い新たな脅威」と呼ぶ。
新たな脅威に対応するため、警視庁公安部は4月、組織改編を行い、ローンオフェンダー対策を担う新組織は「公安3課」を設置。公安総務課が行っていた対策をここに移管し、人員を増強。SNSへの投稿を警戒し、各部の刑事たちが職務質問や情報収集で得た犯行の前兆となる情報を集めるなど、情報収集を強化するという。これまで右翼団体に対応してきた公安3課は公安2課に改称され、中核派と日本赤軍を担当していた公安1課と革マル派を担当してきた公安2課が統合し、公安1課とになる。
「公安3課が対象とする新たな脅威には、陰謀論を流す者や一部の反ワクチン集団なども入る可能性がある。都知事選で逮捕された”つばさの党”などもそうだろう。新たな脅威が次々とSNSで湧いてくる」(元公安関係者)。今回の事件も宮西容疑者の供述によると、兵庫県知事選に関わる立花氏のYouTubeやSNSから斎藤知事への陰謀説が渦巻き、百条委員会の委員だった元県議が亡くなったことが、犯行への発端らしい。
カテゴリーがないのがカテゴリーという新たな脅威に、新たに設置される公安3課はどう対策を強化してくのだろう。