ビジネス

《中居氏の性暴力が認定》フジテレビ問題で調査報告書公表 2か月前の「10時間超会見」でフジテレビ幹部の謝罪姿勢から見えた被害女性アナへの本音

中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ

中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)

 起きたトラブルにどう対処できるかは、その組織の底力が試される場面だろう。元タレントの中居正広氏が起こした女性トラブルをめぐるフジテレビの対応について、3月31日に公表されたフジ・メディア・ホールディングスが公表した第三者委員会の調査報告書では、認識も対応も、不適切だらけで「極めて思慮の浅い」経営判断をおかし、「集団浅慮」を生み出したと指摘された。臨床心理士の岡村美奈さんが、いま改めて1月27日に行われた10時間超のフジテレビの記者会見について分析する。

 * * *
 フジテレビとフジ・メディア・ホールディングス(HD)が設置した第三者委員会の報告書を受け、被害にあった元フジテレビアナウンサーの女性が「改めてやり切れない気持ちになった」とコメントを公表した。

 第三者委員会は元タレントの中居正広氏と女性とのトラブルを巡る一連の問題に対して、「『業務の延長線上』における性暴力であった」と認定しただけでなく、ハラスメントを容認する企業風土があったと報告。中居氏と編成部長とのやり取りなども公表された。その上で1月27日に行われたフジテレビの会見を振り返ると、やっぱりそうかと思うところがいくつかある。

 当初フジテレビの会見では、被害女性が社員であることを明確に認めていなかった。しかし第三者委員会の報告書で、被害女性がフジテレビの元アナウンサーだったことが明らかになった。やはり社員だったのだ。報告書によると「港社長ら3名は性暴力への理解を欠き、被害者救済の視点が乏しかった」「社内にセクハラを中心とするハラスメントに寛容な体質があった」というが、それは1月の会見でも露わになっていた。

 1月の会見に出席したのは、会見と同日に辞任を発表したHDとフジテレビ社長の港浩一氏、フジテレビ会長の嘉納修治氏、HD社長の金光修氏、フジテレビ副会長の遠藤龍之介氏、フジテレビの新社長に就任した清水賢治氏。5人揃って黒っぽいスーツにダークなネクタイを着用、暗幕を背に立っている様子は2016年1月18日に放送された『SMAP×SMAP』の緊急生放送で「公開処刑」と呼ばれたSMAPメンバーたちのようで、会見の行く末を暗示しているようだった。

 もう一度、このときの会見の様子についてくわしく見直してみたい。

 会見冒頭、「社として人権に対する意識の不足から、女性へのケアが十分にできず申し訳なかった」と神妙な面持ちで述べ、嘉納氏が軽く頭を下げた。その横で港氏も軽く頭を下げていた。だが、続いてステークホルダーや関係各所の皆々様へ陳謝した時は、檀上にいる全員がほぼ90度に近いほど深く頭を下げていた。経営陣にとって最も申し訳ないと感じていたのは、被害を受けた女性社員ではなく、ステークホルダーや関係各所に対してだったことが謝罪姿勢から見て取れたのだ。

関連記事

トピックス

同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
入場するとすぐに大屋根リングが(時事通信フォト)
興味がない自分が「万博に行ってきた!」という話にどう反応するか
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン