人気ブランド・10匣(TENBOX)のPigu氏
オーナーは人気ブランド・10匣(TENBOX)のPigu氏。10匣はPigu氏が旅先で得たインスピレーション、入手した生地やビンテージアイテムで構成される。これまで綱島のアトリエ兼ショップ「Kenzai.Depot」で彼の世界観を表現してきたが、それ以外の旅の魅力、例えばサーフィン後に仲間とビールを飲む気持ち良さを具現化させたいと始めたのが「夢あ」だ。
腕を振るうのは元パティシエの中村かおりさんで、スイーツ含めフードが充実している。卵で覆われた名物「夢焼きそば」の中身は、タイのパッタイ。コンブチャ割りを流し込むと独特の酸味が楽しく脳内がアジアにトリップする。そういうところもどこか10匣のアイテムのようだ。定番・ハムエッグも生ハムを使うなど実に面白い。「食」からの発想ではない「服」「ライフスタイル」からのアプローチ。従来のブランド運営カフェとはリアリティのあり方が全然違う。
なぜ新丸子なのか? Pigu氏は多摩川を超えたこのエリアとNYのブルックリンの相似性に注目。人気の東横線沿線でも東京側より比較的家賃が安く、クリエーターが多く住む。コミュニティストアを自称する「夢あ」は、彼ら彼女らが出会い、新たなカルチャーを生み出すパワースポットになっている。
「食」と「服」が逆転したのではないかと冒頭で書いた。しかし「夢あ」は「服」で表現しきれないものを「食」で表現する。店名には「アフリカの子供たちに学校を作りたい」というPigu氏の夢も込められている。そういえばブランド名「10匣」の由来は聞かなかった。今度「夢あ」で酌み交わしながらPigu氏に訊ねてみよう。
※「sabra」第1号 連載「服食関係」より抜粋、再構成