「這ってでも参加しろ」
緊急会合の会場となった平井一家の薄葉政嘉総裁
六代目山口組の一方的な「抗争終結宣言」と同時に直参組長らに緊急招集がかかる。
「翌日に愛知県豊橋市の傘下組織事務所で緊急会合が開かれるというものでした。山口組は全国に組織があるため、『関東』『中部』『大阪北』など地域をブロックに区切り、ブロックごとに会議を開き、伝達事項を共有します。全直参組長が一同に集まるなんて年末年始の行事くらいです。
おまけに暴力団関係者の間で回った文面には“直参組長は体調が悪かろうが這ってでも来るように”といった内容が書かれていたため、抗争終結の通達だけではなく、“七代目体制などの発表があるのではないか”という憶測も広まりました」(前出・実話誌記者)
会場となった傘下組織事務所前には早朝からメディアと警察が駆けつけ、物々しい空気に包まれていた。警察は兵庫県警、警視庁など全国から30名以上の捜査員が集まっていた。随時、シャッターが開き、高級車が入るが、乗員が降りる際にはシャッターを下ろし、姿が見えないようにするなど厳戒体制が見受けられる。
緊急会合が終了したのは13時過ぎ。シャッターが開き、敷地内のガレージに多数の直参組長が顔を見せた。高山若頭を筆頭に厳しい顔つきの組長も多かったが、なかには笑顔を見せる組長も確認できた。
「司忍組長の姿は確認できず、高山若頭、森尾本部長、青山千尋舎弟頭、若頭補佐8人の執行部11人主導で会合は進められたと見られている。会合自体は20分ほどで終わり、抗争終結に至った理由などの説明はなかった。高山若頭は『六代目山口組は前進あるのみ』と大きな声で発破をかけたそうです」(同前)
直参組長や関係者の間で噂されていた新人事についての発表はなかった。
「これまで司組長は分裂抗争終結まで引退しない意向を示していたと言われています。その分裂抗争に対して、六代目側は“終結した”という結論を出したわけなので、今後は新体制への関心が否が応でも高まります。
暴力団のルールに則れば七代目は高山若頭になる。高齢で健康上の理由も囁かれているので先行きは不透明ですが、それ以上に注目が集まるのが、“七代目体制の若頭”です。こちらも竹内若頭補佐が有力と見られていますが、竹内若頭補佐は司組長、高山若頭と同じ弘道会出身です。
何代も弘道会出身者が重宝されるとなると組織内に不満を持つ者が現れるかもしれない。実際、神戸山口組側は分裂当初、弘道会中心の体制への批判を公言していました。再分裂だけは山口組も避けたいはず。それだけに司組長の決断に注目が集まります」(同前)