『傷だらけの天使』(日本テレビ系・1974年10月~1975年3月)が放送されてから50年が経つ

『傷だらけの天使』(日本テレビ系・1974年10月~1975年3月)が放送されてから50年が経つ

「自分で自分を持て余していた」

 作中で萩原はファッションブランドのBIGIを着こなし、水谷はスリムなジーンズにブルゾン。ヘアスタイルは1950年代風のリーゼントだ。

「リーゼントを作るために本物のポマードを使ったんですが、これがなかなか落ちない。3回、4回洗っても残っているという感じで。でも、亨が若者なりに頑張っているとか、人前でいい格好をするとか、そういう雰囲気を出すにはあのポマードの質感が必要だった」

 髪型に加えて、亨の個性を際立たせているのが、修を呼ぶときの少し甘えた「アニキ~」という独特の口調で、真似をするファンが続出した。

「当時の僕は22歳でまだ若かったから、夜は遊び歩いていたんですね。翌日、寝ないで撮影に行こうとして台本を読んだら、ろれつが回らなかったことがあるんです。だけど、この感じは、はっきり物を喋らない亨のイメージに合っていると思って。それが亨の喋り方の原点になりました」

 第1話として放映された「宝石泥棒に子守唄を」は、実際には3本目の撮影だった。この回で水谷は、後遺症が残るほどの大怪我をしている。

「深作組の撮影だったと思います。修と亨が市中をバイクで走ったり、悪い奴のアジトに乗り込んで暴れたりするアクションシーンで、僕は右の肩を打撲していたんです。翌日になったら、まったく肩が上がらなくなってね。すぐに病院へ行けばいいのに、面倒臭いと思っているうちに、ボールも投げられない酷い状態になっていました」

 ドラマの全編を通じて、修と亨は様々なトラブルに見舞われる。乱闘になることもたびたびだ。殴られて吹っ飛ぶ水谷のアクションを見ると、身体能力の高さを実感する。

「とにかく、身体を動かすことが好きでしたね。じっとしていられないというか、もういい加減にしろって言いたくなるほど、自分で自分を持て余している時期でした」

第2回につづく

【プロフィール】
水谷豊(みずたに・ゆたか)/1952年生まれ、北海道出身。代表作は『男たちの旅路』、『傷だらけの天使』、『熱中時代・教師編』など多数。2000年から主演するドラマ『相棒』は23シリーズも続く人気作に。

撮影/松田忠雄

※週刊ポスト2025年4月18・25日号

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