「日本ネットワークセキュリティ協会」(JNSA)ではHPトップページで「当協会から個人の方へ直接お電話をさしあげたり金銭のご請求をすることは一切ございません」と注意喚起をしている(JNSAのHPより)
勝手に詐欺に名前を使われて活動できなくなり解散
40代女性のもとに電話をしてきたのは「日本個人データ保護協会」なる団体に所属すると称する男だった。実は、まったく同じ団体名を名乗る詐欺電話被害が、一昨年ごろから全国で相次いでいると話すのは、前出の社会部デスクだ。
「一昨年ころから、鳥取や静岡、秋田や大分など全国各地で”日本個人データ保護協会”とか”日本ネットワークセキュリティ協会”を名乗る人物による詐欺電話被害が多発しており、中には約2000万円をだまし取られた被害者もいるほど。まず携帯電話会社や銀行、さらに警察を名乗る電話があり、未納金がある、逮捕される可能性があるといって被害者を恐がらせ、そのあと、例の協会の人間が”救済できる”と助け舟を出す。単純な劇場型詐欺のパターンですが、被害が後を絶ちません」(社会部デスク)
さて、この「協会」であるが、内閣府のNPO法人ポータルサイトに「日本個人データ保護協会」の存在が確認できる。同ポータルサイトによれば、事件が明るみに出た後の2024年10月11日付で解散と記録されている。ところが、この解散についてもSNSの一部では「この協会が詐欺に関与している」とまで指摘されている。この風聞について取材したところ、協会の関係者は憤りを隠さず事情を話した。
「全く関係ない。団体の名前を勝手に詐欺に使われたことは、警察にもすべて話していますよ。勝手に詐欺に名前を使われて、活動もできなくなったので解散したんです」(協会の関係者)
SNS上では、被害者であるにも関わらず「犯人扱い」までされた関係者。設立20年以上経過していた協会なのに、詐欺師たちに名前を勝手に「悪用」されたことで解散に追い込まれたと言える。社会部デスクが続ける。
「今回のように、実在する団体やいかにもありそうな団体の名前を名乗る詐欺は、今後も増え続けるでしょう。電話番号のなりすましも増えているため、もし電話がかかってきたら、すぐにその場で対応はせず、公式ホームページなどで相手先の代表電話番号調べた上で電話をして、本当に電話をしてきたのが誰なのか、担当者や担当部署に直接確認をすべきです」(社会部デスク)
ウェブサービスやAIの進化は私たちの生活を便利にしてくれた。一方で、もはや何をするにも疑ってかからなくてはいけなくなった現状は非常に息苦しい。しかし、騙され、被害にあえばその苦しみは何十倍、何百倍にもなる。現代で、赤信号は停まる、という交通ルールを息苦しいと思う人はいないだろう。それと同じような生活ルールが社会に広まる段階だと受け入れるしかなさそうだ。