なかにはしゃがみこむ女性の下着が映り込んでいるものも(TikTokより、現在は削除済み)
「あくまで鹿を撮影している」という建て付け
こうしたアカウントを運営している目的はいったい何か。ITジャーナリストの三上洋氏が解説する。
「TikTok上で同様の動画をまとめたアカウントが多数確認できることから、世界的に有名な“奈良の鹿”と、それと戯れる“女性観光客”の組み合わせが、ひとつの“流行り”として成立しているのでしょう。
その流行りを活かして、月額料金のサブスクサービスで稼いだり、あるいはフォロワー数を増やすことで、アカウント売買や広告ビジネス、詐欺に利用するなど何らかのビジネスに繋げる、というのが運営者の目的と考えられます」(三上氏)
また、観光客を無断で撮影・投稿している可能性について、三上氏は「投稿者が、実際に奈良公園を訪れている可能性は低いと思います」という。
「奈良公園は海外観光客にも人気の観光地であり、多くの人が純粋に観光を楽しんでいて、盗撮されるとは思っていません。そうしたなか、“無防備”になっている女性を盗撮することは難しくなく、それらが本人の知らないところでインターネット上にアップロードされることもあるでしょう。そうした豊富な動画素材をダウンロードで集め、伸びるアカウントを作るという手法かと思われます。
また、TikTokには青少年保護のために性的なコンテンツに年齢制限を設定するなどの内容をガイドラインに明記していますが、表面上『奈良の鹿を撮影している』ということであればコンテンツ違反に該当しづらいという点も、ビジネスの手口に鹿が利用される理由なのでしょう」(三上氏)
これらのアカウントや動画についてTikTok公式に問い合わせたところ、期日までに回答はなかった。しかし現在、当該アカウントは削除され閲覧できない状態になっている。
一方、こうした観光地を悪用したビジネスから観光客を守るため、施設側はどういった取り組みを行なっているのか。NEWSポストセブンは、奈良公園の担当者に話を聞いた。内容は追って詳報する。
(後編に続く)