混乱が解消され落ち着きを取り戻したパビリオン前(読者提供)
セキュリティスタッフも右往左往
『ハイジカフェ』のオープン時間が近づいてくると、入口の道に向かってオーストリア館の行列の人たちまで押し寄せてきてしまい、危ない場面もあった。
「とにかく雨風がひどく、ポンチョ姿の人もいたけど、傘をさしている人たちが多くて、子どもや背の低い人の目に傘の露先がささりそうで冷や冷やしました。みんな“自分は並んでいる”と思っているから、横入りをさせないために後ろから押してくるんです。このままだと危ない、けが人が出るかもと心配になりました」
同様に感じた人は多かったようで、並んでいた何人かの日本人来場者がスイス館のスタッフや近くにいたセキュリティスタッフと思われる会場関係者に列の整理など対策を講じるよう訴えたという。だが、現場で判断し、対処できるスタッフがおらず、混乱は続いた。
「集まった人たちの中から『私たちはずっと並んでいるのに、後から来た人が前にいるのはずるい』と不満を漏らす声も聞こえてきました」
こうした殺伐した雰囲気のなか「ハイジはそんなこと望んでなんていない!」と周囲に聞こえる声で嘆く人が現れる事態に。ある来場者は「その通り! ハイジが泣いているよ、と心の中で拍手しました。この声で冷静になった人もいたのでは」と話す。
結局、『ハイジカフェ』の厨房でトラブルがあり、16時すぎになっても開店せず、スタッフから「いつ開店するかわからない」「いま並んでいても入店できるかわからない」とアナウンスがあると、離脱する人が相次ぎ、現場はようやく落ち着きを取り戻していたという。
翌日はハイジカフェ用の列がつくられていたので、スイス館側が開幕日の問題を踏まえて並ぶルールを導入したのだろう。
現在は万博会場も落ち着いてきているようだが、大勢の人が楽しみにするイベントだけに閉幕まで大きなトラブルがないことを願う。