六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、特定抗争指定暴力団の山口組による、2015年から続く神戸山口組との抗争終結宣言の裏側について。
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10年にも渡った山口組分裂抗争が終結に向かいそうだ。4月7日、六代目山口組の森尾卯太男本部長ら執行部幹部らが、兵庫県警を訪問し抗争終結に関する宣誓書を提出した。
「この度は全国の任侠団体の申し出により、山口組は処分者の井上、入江、池田、岡本、松下との抗争を終結することにしました」と書かれた宣誓書には、「一般の市民にはご迷惑をおかけしました」という謝罪の言葉とともに、六代目山口組ナンバー2の高山誠司若頭の名前と執行部一同という文字が書かれていたという。だがそこに当代である司忍の名前はなかった、
ヤクザ界隈のSNSでは3月頃から、抗争終結に向けた情報が随時流れていた。稲川会が全国の暴力団組織に”要望書”、いわるゆ「連判状」を持った幹部を派遣し、抗争終結の同意を得ようと奔走。SNS上では当初、この連判状は要望書ではなく”神戸山口組井上組長引退連判状”とされていた。社会情勢もヤクザを取り巻く状況も悪くなる中、抗争終結に向けて神戸山口組の井上邦雄組長を引退させる。井上がカタギになる代わりに命の補償はするという内容を持って稲川会が動いているといわれ、連判状に署名捺印したという組の名前も挙がっていた。だが西日本の組織は話を蹴った、九州勢は難色を示したという情報も飛び交っていた。
神戸山口組側の弱体化に伴い、これまでも六代目山口組が抗争終結宣言をするのではという噂はあったため、山口組関係者の間では「慌ただしくなってきたが、勝手に終結なんて無いだろう」という見方が大半だったとA氏はいう。それがにわかに現実味を帯びたのは4月に入ってからだった。
SNSに流れた怪文書
4月4日、稲川会の内堀和也会長と住吉会の小川修司会長が、六代目山口組の高山誠司若頭に、抗争を終結してほしいという要望書を渡したという情報が流れた。「山口組が一方的に終結宣言をするのではという話が過去に何度か出ていた。抗争も10年目、昭和から数えてヤクザの抗争事件で10年を超えたことはない。そのいらだちも大きかったのではないか。司忍組長も高齢で、今年中に代替わりをという意向もあったのだろう」とA氏はいう。