5月場所に横綱昇進をかける大関・大の里(時事通信フォト)
大舞台では「初顔の平幕」こそが要注意
手強いのはモンゴル勢だけではないとこの若手親方は続ける。
「ウクライナから初の幕内力士となった獅司と同国から戦火を逃れて来日した安青錦はともにレスリング経験者。獅子は193センチ、166キロと恵まれた体を活かした激しい相撲を取るし、安青錦は182センチ、136キロながら師匠の安美錦(現・安治川親方)譲りの低い姿勢からの粘り強い相撲を取る。初土俵から所要9場所の歴代1位のスピード出世をした。
カザフスタン出身の初の関取となった金峰山は、朝青龍の紹介で高校時代に来日し、日大相撲部に進んだ。日体大の欧勝馬とは同学年で、三段目付け出しで入門すると所要5場所で関取に昇進しています。195センチ、176キロの恵まれた体があり、四つ相撲も取れる。金峰山は今年1月場所11日目に大の里に土をつけています」
大の里は幕下10枚目付け出しデビュー後、幕下2場所、十両2場所、幕内8場所で出世街道を駆け上がってきたが、十両で欧勝馬と2回(2勝0敗)、獅子と1回(1勝0敗)、幕内で金峰山と2回(1敗1不戦勝)の対戦しかない。
「綱取りがかかり負けられない場所では、初顔の平幕力士、それも勢いがある力士との対戦は要注意です。同じ日体大出身の同級生の阿武剋、2年先輩の欧勝馬などはお互いに手の内を知り尽くしているが、大関ということで受けの相撲を取れば足をすくわれるかもしれないですね」(相撲ジャーナリスト)
大の里に立ちはだかるのは横綱や大関ではないのかもしれない。