外国人社長と聞けば、ゴーン氏が日産に来たときのように、大胆で冷徹なリストラによって業績を回復させるイメージがあるが、やり過ぎれば日本の企業風土とは合わなくなる。
武田薬品も2017年度までに全世界で1000人規模のリストラを計画しており、ウェバー氏は日本の株主の意向に沿いながら、いかに全世界の企業統治を進めるか。まずはお手並み拝見といったところか。
逆に、武田薬品のトップ人事の結果によっては、ますます日本人経営者にプロフェッショナルの資質が問われることになるという。
「グローバル経営のプロを自認していた日本マクドナルドの原田泳幸氏(現会長)でさえ、限界を感じて外国人に社長の座を譲るほどシビアな時代。企業経営に国境がなくなったいま、武田薬品の人事を通じて新しいスタンダードが生まれるかもしれませんし、失敗すれば『やはり日本人のほうが良かった』となる。国籍に関係なく、トップはより具体的な成果が求められる時代なのです」(関氏)
2009年に一族経営に終止符を打った武田國男氏は、「独裁者」「バカ殿」などと揶揄されながらも、事業撤退やリストラ、買収など企業改革に大ナタを振るい1兆円企業に急成長させた。
武田薬品の歴史を“破壊”と“蓄積”に例えるならば、まさに今は「ぶち壊し=再生」の時期なのかもしれない。その成果が吉と出るか凶と出るか。経営権がないとはいえ、タケダイズムを築いた武田氏も固唾をのんで見守っているはずである。