2014年、交渉中のTPP(環太平洋経済連携協定)の進展を背景に、農政に大きな変化が生ずることが予想される。その一端が減反政策の廃止だが、大前研一氏は、減反という制度を「理解不能な政策」と切り捨てる。以下、大前氏の解説だ。
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コメ価格が下がらないように生産量を調整してきた「減反」が、2018年度で廃止されることになった。減反に参加する農家に10アール当たり1万5000円を一律に払ってきた補助金は、2014年度から7500円に半減させて2018年度に完全になくすが、その代わり、家畜の餌になる飼料用やパンなどに使う米粉のコメづくりに転作した場合の補助金を増額するという。
「自立した農家」を育てることを目的とした農業政策の約50年ぶりの大転換、と政府・農水省は喧伝している。しかし、それで本当に日本の農業を生まれ変わらせることができるのかといえば、甚だ疑問である。
減反の廃止は当然だ。もともと今までの農政が完全に間違っていたのである。減反政策は、日本人のコメ離れと人口減によるコメ消費の減少で1971年度から始まり、コメの生産量は1967年度の1445万トンをピークに徐々に減少して2012年度は何と6割の869万トンになっている。
本来、需要が減少したら供給を減らさなければならない。ところが、農家にとっては他の作物より補助金の多いコメが一番儲かるから、放っておけばコメを生産してしまう。そうすると供給が需要を上回って価格が下がる。それでは農家が困るから計画的な減反によって供給を減らし、減反すれば補助金を出すという制度を作ったのである。
しかし、価格を維持するために補助金を払って生産量を調整(減反)するというのは、どう考えてもおかしい。余るなら生産をやめればいいし、価格が下がるなら消費者に還元すべきである。