さらに、1986年から約7年続いたGATT(関税貿易一般協定)のウルグアイ・ラウンド(多角的貿易交渉)でコメ市場開放を迫られた日本は、コメの778%(1キロあたり341円)の関税を維持する代わりに毎年一定量を無税で輸入すること(ミニマムアクセス)を義務づけられ、関税も毎年下げて最終的にはゼロにすると約束させられた。
そして、ウルグアイ・ラウンド対策として競争力を強化するという名目で「農業基盤整備事業」なるものを20年間で42兆円もかけて実施した。減反する一方で新しい農地を作るという理解不能な政策である。しかも、その結果は生産性も競争力も全く上がらなかった。したがって、ウルグアイ・ラウンド終了から20年が経過しても日本は市場開放できず、コメの関税は778%のままである。価格維持のための減反にもカネを注いできた。これ以上の悪政はないと思う。
結局、農水省は「農業」を守りたいのではなく、自分たちの「農業利権」を守りたいだけなのだ。なぜなら、日本の農業はとっくに崩壊しており、いくら補助金を出したところで競争力を持ちえないということを、誰よりも知悉(ちしつ)しているのは農水省だからである。
※週刊ポスト2014年1月17日号