三菱といえば、直近の第3四半期決算で前年同期比2倍強の経常利益を叩き出し、2014年3月期は実に17年ぶりとなる過去最高益を更新する見込み。
「ようやく長く暗いトンネルを抜け、新型車を続々と開発できる環境が整いつつある」(三菱関係者)ため、本来なら軽をはじめとする主力車種の生産能力を増強してもおかしくないのだが、そこはあくまで慎重になっている。
「eKスペースはすでに7000台の予約が入っており、それよりも多い日産への供給台数と併せると、生産が追いつかない状況になっている。でも、消費増税後の売れ行きがどうなるか見極められないため、無理に生産能力を増強せず、当面はいまできるフル操業をするしかない」(三菱幹部)
増税後の軽需要の落ち込みについては、前出の全国軽自動車協会連合会も頭を悩ませており、2014年は前年比で12.3%、26万台の減少を予測している。来年には軽自動車税の増税も控えている。
では、このまま軽自動車の販売は下降線をたどってしまうのか。
「それでも軽自動車は普通車に比べれば車体価格や維持費が安いうえ、車内の広さに象徴される快適性は驚くほど良くなっています。近所を乗り回すのに5人乗る必要がなければ普通車は要らないという軽ユーザー層が拡大している今、大幅な落ち込みはないと思います」(前出・井元氏)
4月までに1台でも多く軽自動車を売ろうとデッドヒートを繰り広げる各社。だが、スーパーハイトワゴン市場も含めた真の実力が問われるのは、増税後なのかもしれない。
■撮影/横溝敦