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「デコ弁」のような華やかさ ANAの本格的な子供向け機内食

 雪だるまの形をしたご飯に、ハートをかたどったチーズをのせたハンバーグ。まるで母親が子供のために作った「デコ弁」のようだ。さらに、おもちゃが入ったお菓子もついている。

 全日本空輸(ANA)が2013年12月から成田・羽田発の国際線全路線とホノルル発、バンコク発の便で提供中の“子供向け機内食”『チャイルドミール』は、2歳以上12歳未満が対象の子供向け機内食。事前予約は必要だが、追加料金などは一切かからない。

「きっかけは、客室乗務員として搭乗したホノルル便で耳にした、あるお母様のつぶやきでした」

『チャイルドミール』の発案者である鳥巣(とす)奈美子は、客室乗務員らしく凛とした声で話し始めた。

 鳥巣は客室乗務員を務めながら、機内食などの企画に携わる商品戦略部にも所属する。サービスの最前線で利用者のニーズをすくいあげながら商品化を進めていく、という任務だ。

「そのお母様は、お子様の機内食のふたを開けて、こうおっしゃったのです。『あらー、揚げ物ばかりなのね。茶色いおかずばかりで、見た目も地味だわ』。ふだん、お子様に愛情をいっぱい注ぎながらお食事を作っていらっしゃるお母様の目には、残念な料理に見えたのでしょう」

 もちろん、機内食は味も栄養もじゅうぶん吟味している。だが、そこに子を持つ母の気持ちが込められているかといえば……。

 そこで鳥巣は、新たな機内サービスとして、本格的な子供専用の機内食を企画することにした。さっそくメニューの開発を依頼したのは、かつて鳥巣も在籍していたことがある、ケータリングサービスの関連会社である。

「開発にあたっては、どうしてもこだわりたいことがありました。それは、『実際に小さなお子さんをお持ちのシェフにメニューの開発をお願いしたい』ということです。“親目線”で考えていただける若手シェフなら、子供が本当に喜ぶメニューを作っていただけるはずだと思ったのです。それに、ふだんベテランシェフのサポートに回ることが多い若手シェフたちの、モチベーションも上がるでしょう」

 社内公募を行なったところ、女性を含む4人の若手シェフが手を上げた。みな1歳から10歳の子を持つ“パパママシェフ”である。

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