Jクル―のM&Aが成功裏に終われば、こんなメリットも生まれるという。
「GAPが価格帯に応じて<バナナ・リパブリック/GAP/オールド・ネイビー>という3本柱の小売ブランドで成功しているように、ユニクロも<Jクル―/ユニクロ/GU>という大衆衣料の中での“松竹梅”で勝負できる」(前出・月泉氏)
日本でも景気回復に伴う高額消費の流れで、安モノの衣料品ばかりが好まれる時代ではなくなりつつある。買収企業を利用したユニクロ依存からの脱却、つまり「多チャンネル化」の構築は、国内においても喫緊の課題といえるのだ。
そして、もっとも肝心な商品力についての課題も浮き彫りになっている。
「ヒートテックやダウン、フリースなど定番の商品は引き続き好調だが、爆発的に売れる時期は過ぎた。そろそろ次なるヒット商品を出さなければ、消費増税の影響も加わり国内事業の苦戦はしばらく続くことになる」(流通業界関係者)
2020年までに売上高5兆円、うち3兆円以上を海外で稼ぎ出す目標を掲げるファストリ。だが、日本の屋台骨が揺らいだままでは、世界中で売れる商品のMD(商品化計画)展開にも狂いが生じてしまいかねない。