国内

被災地宅地再建進まぬ理由 用地確保の難航とマンパワー不足

 東日本大震災で津波に襲われた街では、3年経った今も瓦礫を撤去しただけの更地が広がっている。先進国とは思えない光景がなぜ放置されているのか。

 いまだ避難者数は27万4088人(復興庁調べ。昨年12月)を数える。仮設住宅に住む被災者は10万2650人(内閣府調べ。昨年10月)。

 仮設住宅は学校の校庭に建てられたものが少なくない。一部の地域では学校側にスペースを返すため、仮設住宅に住んでいる避難者が転居した。また、民有地にある仮設住宅では、周辺の地価高騰にともない地権者が契約更新を拒むケースが出てきている。 だが、避難者の新居の目処はたっていない。

 復興庁の発表によれば、計画されている「災害公営住宅」2万1811戸のうち整備に着手した(用地確保が完了した)戸数は1万3231戸(61%)、完成した戸数はわずか509戸(2%)にすぎない(昨年11月末。以下同)。

 また、高台移転などの「防災集団移転促進事業」が予定されている335地区中、造成工事に着手したのは215地区(64%)、造成工事が完了したのは18地区(5%)。

 津波被害にあった土地で道路拡張や嵩上げなどを行なって現地再建する「土地区画整理事業」は、予定されている51地区中、造成工事に着手したのは33地区(65%)、造成工事完了はゼロだ。なぜ宅地再建が遅々として進まないのか。それには用地確保の難航とマンパワー不足の大きな2つの理由がある。

 東北のリアス式海岸は海のそばまで山が迫っており、防災集団移転促進事業を進めようにも住民がまとまって移転できる平地がそもそも少ない。

 土地があっても地権者の承諾が得られないことがままある。陸前高田市は高台移転を計画しているが思うように地権者の承諾が得られていない。

 また、測量して境界や正確な面積を確定する地籍調査事業が行なわれていない土地(2012年度、全国平均で実施率50%)の場合は地権者立ち会いのもと測量する必要がある。さらに未登記の土地が多かったり、明治以来、所有者が死亡しても登記の変更がなかったりというケースが少なくない。買収する際には相続関係者をすべて探す必要がある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ジャングルポケットの斉藤慎二と妻・瀬戸サオリ
【ロケバス不同意性交で書類送検】ジャンポケ斉藤メンバーが正月に見せていた妻・瀬戸サオリとの「シャネルやハイブラジュエリー物色」家族サービス現場
NEWSポストセブン
石破茂・首相の短期決戦の賭けはどんな結果となるか(時事通信フォト)
【10.27総選挙289全選挙区緊急予測】自民党が「53議席減」、自公でも過半数割れの衝撃シミュレーション結果 新閣僚3人も落選危機
週刊ポスト
俳優、タレント、番組MC、育児と多忙な日々を送る二宮和也
《11月3日にデビュー25周年》嵐“6つの企画”が発表されても簡単ではない「グループとしての活動再開」 二宮和也は結成記念日にコメントなし 
女性セブン
詐欺罪などに問われている“頂き女子りりちゃん”こと、渡邉真衣被告(時事通信フォト)
パパ活“頂き女子りりちゃん”「獄中手記」1話300円で有料配信の狙い 電子書籍としても発売予定か
週刊ポスト
父娘ともにお互いを利用せず活動を続ける(Xより)
《あざと女王の森香澄アナ(29)ショック》「放送作家の実父」経営のラーメン店がオープン4カ月、『がっちりマンデー!!』放送直後に廃業の意外な理由
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
六代目山口組の機関紙『山口組新報』、自虐ネタが消え〈物価高 嫁のやりくり ブッダかな〉〈値上げだと? 家の家計 音を上げる〉と経済苦を嘆く
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《「根拠のない情報」発言の真相》宮内庁の幹部たちが最も否定したいのは悠仁さまの「進学先」ではなく、「成績不振報道」だった 東大農学部とは“相思相愛”か? 
女性セブン
ヤマハ発動機の日高元社長(共同、時事)
《娘に切り付けられ退任》ヤマハ発動機社長、事件前に目撃されていた“父娘の散歩” 名古屋出身も「俺はトヨタよりこっちのほうが…」見せていたバイク愛
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告と父・修被告
「俗に言う“お持ち帰り”をされた」「最後の行為でゴムを取られて…」父・田村修被告が証言した“瑠奈被告と被害男性のプレイ詳細”
NEWSポストセブン
容疑者
「お前が妹を殺してさあ!」瑠奈被告が絶叫した“永遠の7分間” 父・修被告は「妹とは瑠奈の魂です」と証言【ススキノ第4回公判】
NEWSポストセブン
逮捕された伊佐山容疑者(左)と摘発されたハプニングバー「Nocturne」
《錦糸町のハプニングバー摘発》「20代男女が昼から乱倫パーティ」女性向け人気セラピストだった経営者による「集客方法」で会員数は2000人規模に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ドサクサ解散でも「自民党惨敗」の衝撃予測ほか
「週刊ポスト」本日発売! ドサクサ解散でも「自民党惨敗」の衝撃予測ほか
NEWSポストセブン