これらの問題をクリアするには政治や行政の踏み込んだ対応が必要だが、そういう仕事に積極的に取り組むリーダーが現われない。
土地の相続人が不明の場合、利害関係者からの申し立てにより、家庭裁判所の選任する弁護士などが相続財産管理人として財産を管理・処分にあたる。しかし、その相続財産管理人が足りない。
安倍晋三首相は昨年10月、やっと特例措置を講じることを表明した。管理人の候補者約500人を確保し、裁判所の選任手続きを簡素化、従来半年かかるとされた期間を最短で3週間程度に短縮するとした。
しかし、そもそも相続財産管理人は相続人が一切不明の場合に限られており、一部でも相続人が判明しているケースでは認められない。被災地の場合、後者が圧倒的に多い。日本商工会議所は2月10日に「一部の相続人の存在が判明している場合においても、相続財産管理人を活用して土地等の処分を可能とする特例措置」を講ずるよう要望した。
行政側の人材不足も顕著だ。市や町には集団移転や区画整理のノウハウを持った職員が絶対的に不足している。石巻市などは地元河北新報(2月3日)の取材に対し、「人員不足により事業の加速化が困難」と認めている。
※SAPIO2014年4月号