テレビの地盤沈下が叫ばれて久しいが、2013年はドラマ復活の年だったといえるだろう。大ヒットした『あまちゃん』や『半沢直樹』の続きを皆が気にし、最終回には「まだ終わらないでほしい」と惜しまれた。まるでドラマ復活と呼応したかのように、CMでも続きが気になる、ストーリー性がある作品が好まれる現象が起きている。
CM総合研究所による「2013年度 銘柄別CM好感度TOP10」(2012年11月度~2013年10月度)をみると、1位に犬がお父さんを演じる白戸家を描いたソフトバンクモバイル、4位に宇宙人ジョーンズが地球の生活を調査するサントリーのコーヒーBOSS、5位は架空の町“トヨタウン”の出来事をつづったトヨタ自動車、7位に俳優・役所広司がコミカルな舞台裏を明かす大和ハウスなど、連続ドラマのようにシリーズ化したものが目立つ。
この傾向は2014年に入っても続いており、菅野美穂と青木崇高が演じる子育て中の夫婦が子連れで義父の家を訪れるダイハツ、会社の重役会議に呼ばれた中間管理職と社員を柳葉敏郎と妻夫木聡が演じたロト7などが続き、最近では、ひとりの農夫となった高倉健が農薬を使わずに有機栽培でにんにくを育てることが可能な土地を求めて夜行列車で旅立ち、理想の土地を見つけるまでを描いた健康家族などの物語CMが話題を集めている。
いずれも、豪華なキャストと効果的なBGMが使用されているのが特徴的だ。1989年からCM好感度調査を続けているCM総合研究所の関根心太郎主席研究員も、知名度が高い出演者によるドラマ仕立のシリーズCMの効果は大きいと言う。
「毎月約1000作品が新作として登場するCMですが、なかでもドラマのように続きが気になるシリーズものは効果が高いCMのひとつです。代表的な存在といえる『白戸家』シリーズを展開するソフトバンクモバイル/SoftBankのCMは7年間連続でCM好感度調査の1位を獲得しています。ほかにもCM好感度の上位にはドラマ仕立てのシリーズCMが多数見受けられます。いずれもおなじみのフレームに、時事ネタや旬の話題を加えたストーリーが好評で、視聴者を飽きさせないさまざまな工夫が仕掛けられています。
また、これらのシリーズCMには知名度の高いキャストが出演しているものが多く、これも視聴者の心に残りやすい要素のひとつです。最近では、ヒットドラマの出演者や注目のタレント・キャラクターを起用することで、長く続くシリーズCMに新鮮さを加えているケースも見受けられます。たとえば、片岡愛之助さん、壇蜜さん、ふなっしーといった昨年大活躍した顔ぶれは今年もさまざまなCMに登場しています」