3月末に放送が開始されたばかりの健康家族CMも、ドラマ仕立てでシリーズ化してゆこうという意識が感じられるもののひとつだ。文化勲章受章後初めてのCM出演となる高倉健がいぶし銀の演技によって広大なにんにく農場に立つ農夫になりきり、農薬を使わない有機にんにく栽培へのこだわりのため、土づくりから徹底してこだわっていることが伝わるストーリーだ。そしてBGMには井上陽水の代表作のひとつ『少年時代』が聞こえる。
誰もが知る日本の名優に、20年前にヒットし今も歌い継がれる名曲が添えられることでより印象が強く残る。数十秒のCMとはいえ余韻をもたせて終わるので、その先に物語が続くと強く予感させられる。
またドラマ仕立てCMでは、ストーリーの続きをWEB限定で公開する手法もよく見られる。WEBへ誘導することでCMの続きを見られるだけでなく、企業や商品についても効率よく知ることができるという仕組みだ。健康家族CMでも同様の続きの物語が制作されており、映画のスクリーン以外では滅多に見られない名優、高倉健が堪能できる。
ドラマのようなストーリー性があり、豪華キャストによって企業や商品が強く印象付けられる機能を備えたCMが人気を集める傾向は、まだしばらく続きそうだ。