安倍晋三首相にとってはゴルフとは数少ない「息抜き」なのか、もしくは「政治交渉の場」か。第二次政権誕生から17か月でラウンド数21回。その同伴プレーヤーを見ていくと、様々な秘密が見えてくる。
5月10日、安倍首相は別荘のある山梨県鳴沢村のゴルフ場でプレーにいそしんだ。壮大な富士山を間近に仰ぐ環境は謀略蠢く空気の淀んだ永田町とは正反対だ。この日の同伴者は、地図情報サービスのゼンリン・大迫正男会長、建売住宅販売などを主力とする飯田産業・森和彦会長ら。ラウンド後は自らの別荘に総理番の記者たちを集め、バーベキュー大会を催した。
「今日はよかったね。最後43だったからね。前半は49だから92か」と笑顔でプレーを振り返る安倍首相。
記者から「最初は2オンでしたね」と言われると、こう返す。
「あれはよかった。ああいうのを(テレビで)使ってくれるといいんだけど。こないだはバンカーに入ったときのやつを使ってたでしょ!」
安倍首相のゴルフは第二次政権に入ってから21回を数え、とうとう外遊数を上回った。そのことを記者に問われると、
「でも今度、シャングリラ(IISSアジア安全保障会議)で挽回する。シャングリラとG7ね。あ、でも、その前にゴルフ入れちゃったらダメなんだ。ハハハ」
現在、安倍首相はおよそ3週に1度のペースでゴルフ場に通う。政治評論家の有馬晴海氏がいう。
「一次政権の失敗後、安倍さんは『安倍ノート』に、日々感じたこと、気づいたことを書き留めるようになった。そこには『首相にカムバックした際の課題』という項目があって、月に1回やるべきこととして、外遊、東北被災地視察、地方視察、ゴルフが挙げられていました」
一次政権は体調不良で自ら退任するしかなかっただけに、安倍氏に近い永田町関係者は「ゴルフは健康のため」と説明する。だが、そのラウンド相手を眺めれば、別の意図も読み取れる。