連合では昨年秋に、マタハラの理解促進や対応策をまとめた『働くみんなのマタハラ手帳』を作成した。「安心して働ける職場と風土」をテーマにしたマンガやマタハラに関するアンケート結果、関連法についてわかりやすく解説。法令に関すること以外にも、妊娠週数ごとの妊産婦の体の変化、それに伴って必要な周囲の配慮など、具体的に役立つ情報が掲載されている。連合のウェブサイトからPDFでのダウンロードが可能で、企業や自治体からは、研修での使用や社内イントラへのリンク掲載の許可依頼が多く寄せられ、マタハラ対策に積極的に活用されているという。
「マタハラが起きる背景のひとつに、非正規雇用の増加が挙げられます。労働者保護の制度は正規・非正規に関わりなく適用されるものが多いのですが、“雇い止め”や短期で契約内容を見直されることで不利益変更を受けやすいのが、非正規雇用者。雇用の多様化が広がっていますが、民間企業だけでなく自治体の職員もまた、3人に1人が臨時や非常勤職員です。その中には女性の割合も多いこともあって、議員が自治体職員全体へのマタハラ研修の実施を議会に働きかけたケースもあるようです。
行政側である自治体が先行してマタハラ対策を講じることは、地域ぐるみの理解促進や企業への指導がきちんとなされる点などで、期待できる流れですね。地域の企業や住民向けに、マタハラのセミナーを開催している自治体や、広報誌などで広く周知しているところもあるようです。これらは、まだ対策ができていない企業への後押しになるのではないでしょうか」(村上さん)