彼が亡くなった日、お母さんがFacebookで報告した。
「勇気があり、利他的で、他人を鼓舞する息子を持ったことを誇りに思うと同時に、私の心は痛みで張り裂けそうです。この朝早く、息子は安らかに逝きました」
イギリスのキャメロン首相も哀悼の意を捧げた。
「彼の魂と勇気と募金活動はすべての人を励ましました」と──。
スティーブンくんが最後に残した言葉は素敵だ。「人生はときどき公平ではないとたしかに思うけれど、その思いがあるからこそ、僕は世界をより良い場所にしたい。悪いことは必ず起きる。でもそのとき、それとどう向き合うかで、その人の本当の人間性が決まる」
わずか17歳で死の宣告を受けた青年が絶望的な状況の中で、きちんと人生を楽しもうとし、同時に誰かのために何かをしてあげたいと思い続けた。末期がんの青年の温かい心が一気にたくさんの人の心を揺さぶり、13万人が彼の呼び掛けた募金に協力した。
誰かのために何かをする、人生最後の時間を他人のために生きてみようと工夫することが大切なんだ、と改めて教えられた気がした。
※週刊ポスト2014年6月20日号