ビジネス

スーツの「家洗い」が広がる デザインより機能重視の潮流も

 ムシムシする梅雨、これからやって来る夏は、洗濯の回数が増える季節だ。だが、クリーニング回数の増加は抑えられるかもしれない――。従来はクリーニング店に出すのが一般的だったスーツやお洒落着などでも、「家洗い」できる衣服が増えているからだ。節約志向や数年続く猛暑などを背景に「家洗い」市場が広がっている。

 ビジネスマン向けスーツ店THE SUIT COMPANYや紳士服のAOKIなどは、数年前から家で丸洗いできるスーツの発売を始めている。例えばAOKIの「プレミアムウォッシュスーツ」は、ネットに入れて洗濯機に放り込むだけで、ドライクリーニングでは落ちにくい水溶性の汚れを効果的に落とすことができるという。男性用スーツのみならず女性用スーツでもウオッシャブル需要は増えており、AOKIは今年、レディスのプレミアムウォッシュスーツを前年比1.5倍以上に拡充する。

 夏は家洗いできるスーツを着用するという30代男性はこう話す。

「クリーニング代の節約という意味もありますが、それよりも、出しに行く・取りに行くのが面倒なんです。最近はコンビニでの受け取りサービスなどもありますが、家で洗えるほうがもっとラク。どんどん洗ってもさほど品質は落ちませんし、たとえ落ちたとしても買い替えればいいやという値段だから気になりません」

 家洗いできるのはスーツだけではない。西武百貨店池袋本店の3階婦人服売り場では、家洗い可能な衣服の棚にはそれと分かるマークがつく。並ぶのはジャケットやブラウス、プレスのかかったパンツからトレンドのワンピースまで。洋服を購入するとき、女性の約45%が洗濯表示をチェックするという調査結果もあり(「マイナビウーマン」)、家洗いは、女性に選ばれるためのポイントの一つになっているようだ。

 衣服に優しい洗剤の進化も家洗いを後押ししている。花王の「エマール」やライオンの「アクロン」といったおしゃれ着用洗剤の市場はここ数年増加傾向にある。「家洗い」市場拡大の背景と現状について、繊維業界に詳しいファッションジャーナリストの南充浩氏に聞いた。

「ここ数年は“おトク感”のある衣服に人気が集まっています。家洗いできる服が増えているのもその流れですね。ウオッシュスーツなら、クリーニング代と、クリーニング店に持っていく手間(時間)の、二重の節約ができる。ここ数年は猛暑が続いていますから、僕もそうですが汗かきの人にとっては、この節約は大きなメリットといえるでしょう。

 ただ家洗い人気は夏に限ったことではなく、2009年に、ジーンズを中心に販売する衣料品チェーンRight-onが洗えるダウンジャケットを発売してヒットしました。今は、デザインよりも“機能性”が重視されるんです。おトク感をくすぐる機能には他に、リバーシブルとか、取り外しや組合せで3~4通りの着方ができるといったものがあります」

関連キーワード

トピックス

山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン