孫正義氏率いるソフトバンクの2014年3月期の売上高は6兆6666億円、営業利益は1兆853億円。史上最速で営業利益1兆円超えを果たした同社だが、新たな稼ぎ頭を作ろうとする取り組みも進んでいる。
IT業界では「O2O」というビジネスモデルが注目されている。
「Online to Offline」の略で、ネット上で見込み客を集めた上でリアルの店舗に来てもらうというものだ。このO2Oでソフトバンクが一気に攻勢をかけている。
グループ主軸のソフトバンクテレコム社が2012年10月にサービスを開始した「ウルトラ集客」がそれだ。同社新規事業営業本部新規事業準備室長の町田紘一氏(34)が語る。
「圧倒的な集客力を誇るヤフーの全ページにキャンペーンを露出して、バーコードなどが入ったクーポンを発行します。それを実際の店舗に持っていくとサンプル商品がもらえたり、割引が受けられたりするサービスです」
5月下旬には、サントリー食品の『伊右衛門「贅沢冷茶」』を5万名にプレゼントするキャンペーンが展開された。ヤフーの画面から応募し、当選メールを持って店舗に行く。受け取り店舗はファミリーマートだ。応募画面では性別や住んでいる都道府県など簡単なアンケートに答える。店頭でクーポンをチェックすることでどんな人が商品を受け取ったかがわかり、マーケティングに役立てることができる。
「街中で配るサンプリングを全国で行なおうとすると多額のコストがかかりますが、ウルトラ集客ではそれをかけずに全国的に認知度を高めることができます。参加者に対してあとでアンケートを取ることも可能。ある飲料のプレゼントキャンペーンでは2週間で14万件を目標としていたところ32万件の応募があり、58%が実際にコンビニに来店して商品を受け取りました。
さらに、後日あらためて商品を購入した人が45%にのぼることもわかりました。そうしてマーケティング効果を可視化できることがポイントです」(同企画部事業企画グループ・荒木直子氏)