東証1部上場企業の決算が過去最高だとか、経団連が発表した夏のボーナスの集計が伸び率過去最高だとか、景気が良い話が続き「アベノミクス」効果だと言われている。だが、実際にはアベノミクス効果によって変化が表れたのではなく、アベノミクスの成長戦略は不発に終わるだろうと大前研一氏は予測している。
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東京証券取引所第1部に上場する企業の2014年3月期決算は、集計対象の約28%にあたる382社で純粋な儲けを示す純利益が過去最高になった。これはリーマン・ショック前の2007年3月期(485社)以来の高水準で、純利益の合計額も24兆5000億円超と、過去最高を記録した。
また、経団連が発表した大手企業の夏のボーナスの第1回集計も、組合員平均の妥結額は昨年夏比で8.80%増の88万9046円と、現行方式で集計を始めた1981年以来、伸び率でバブル期の90年を上回って過去最高となった。
その理由を多くの新聞やテレビは安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」による景気回復傾向と報じている。しかし、実際にはアベノミクスの効果は日本銀行の異次元金融緩和に伴う円安くらいで、企業の業績が上向いた最大の要因は、消費税増税に伴う駆け込み需要だと思う。
安倍政権は近く改定する成長戦略で、全国6地域の「国家戦略特区」の中で事業を立ち上げる外国人起業家や家事・育児を手伝う外国人労働者を先行的に受け入れる方針を示しているが、これまた何の意味もない。
この先、日本は労働力人口が減り続けるのだから、国家戦略特区だけでなく日本全体で外国人労働者を受け入れていかなければ、企業も社会も立ち行かなくなるのは明らかだ。いま議論されている中途半端な法人税減税も含め、アベノミクスの成長戦略は、おそらくすべて不発に終わるだろう。