cERAは、特に正捕手を決められず、複数捕手を使い回しているチームの分析に役立つ。最も顕著な例が阪神だ(阪神のチーム防御率は3.99)。
「開幕時に9人も捕手を登録した阪神は、現在も主に鶴岡一成(3.53、カッコ内はcERA。以下同)、梅野隆太郎(4.21)、藤井彰人(4.74)、清水誉(5.88)の4人を併用し、正捕手を決めきれていません。しかし捕手防御率を算出すれば、この4人の中では鶴岡の数値がいいことがわかる。Aクラスすら危うい現状、当面は37歳のベテラン・鶴岡を正捕手に起用することでチームを立て直すことが最優先でしょうね」(広尾氏)
阪神の失速の原因は、移籍して好成績を残した鶴岡が故障で離脱し、明らかに劣るベテランの藤井を他の若手と併用していることにありそうだ。
阪神と同じく石原慶幸(3.92)、白濱裕太(3.55)、會澤翼(5.10)、倉義和(2.04)の4捕手を併用する広島では、主に石原がメインで起用されている。しかしcERAを見ると、倉のズバ抜けた数値が目を見張る(広島のチーム防御率は3.69)。
「倉は今年は開幕から二軍暮らしが続いたために出場試合数が少ないが、もともと石原と正捕手を争う選手です。最近、彼が復帰した途端に広島のチーム防御率が大きく改善されたが、これは倉の捕手防御率によるところが大きい。今後は倉中心の起用を考えたほうがいいかもしれません」(広尾氏)
※週刊ポスト2014年7月18日号