研究者たちは以前から水分補給の重要性を説き、熱中症の予防を訴えてきた。また、ここ20年くらいは各飲料メーカーの販売戦略によってスポーツドリンクの摂取が広がり、子供たちに熱中症予防策は浸透している。
「『観測史上、最も暑い夏』と称された2010年の熱波では1745人の方が亡くなりましたが、子供はほとんど含まれていません。これは子供が暑さに強くなったわけではありません。日本体育協会がガイドブックを作るなどして、教育現場でも啓蒙活動が徹底されたからです」(同前)
各メディアで連日のように熱中症の猛威が報じられていると、子供の熱中症が減っているようには全く感じられないが、これは単に患者ではなく報道が増えたから。
「今ではテレビで気象予報士が過剰なくらいに熱中症の注意を呼びかけてくれるようになりました。かつては熱中症で倒れたくらいでは報道されることはほとんどなかったのに、啓発活動によって熱中症が認知され、報道が増加した。そのために熱中症で倒れる子供が多くいるような印象を与えているのでしょう」(同前)
気象庁の予報によれば、8月から3か月間の気温は平年並みか平年より高くなる可能性が高いという。暑さに弱くなっている自らの体を自覚し、こまめな水分と塩分の補給で熱中症に用心を。
※週刊ポスト2014年8月15・22日号