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【著者に訊け】太川陽介 初著作『ルイルイ仕切り術』を語る

【著者プロフィール】太川陽介氏/『ルイルイ仕切り術』/小学館/1200円+税

 最早これは旅番組ではなかろう。前途多難の迫真人間ドキュメンタリーである。2007年の初放送以来、既にシリーズ18弾を数えるテレビ東京系『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』──。

「リーダー」こと太川陽介氏と、ひたすらマイペースな蛭子能収氏、さらに毎回入れ替わる「マドンナ」が起点と終点を直前に示され、路線バスだけを乗り継いでゴールをめざす3人旅は、相次ぐハプニングやリアルな人間模様が面白く、毎回高視聴率を記録している。

 初著書『ルイルイ仕切り術』では、〈蛭子さん級にイライラする人に対処する〉方法等、〈仕切っていないのに、なぜか緻密に計算して仕切ったように物事がうまく運ぶ〉奥義を公開する一方、浮沈激しい芸能界で生き残ってきた太川氏の譲れない流儀も紹介されている。

 表題は太川氏最大のヒット曲『Lui-Lui』(1977年)に由来。当時NHKの歌番組『レッツゴーヤング』では太川氏ら「サンデーズ」の各メンバーに都倉俊一氏が新曲を作るコーナーがあり、明るい曲調と眩しいまでの笑顔、そして「ルイルイ!」の決めポーズが話題となり、「ルイルイ、やって~」と、今でも55歳の元アイドルに求めるファンは多いとか。

「本当に有り難い話ですよね。でも僕は結局、アイドル歌手には向いていなかったんです。オーディションも当時憧れの桜田淳子ちゃんに会えると思ったから受けただけで、歌が巧いわけでも何でもなかった。

 その後は『レッツゴーヤング』の司会を7年でやめ、しばらくは全く仕事のない〈ひきこもり〉時代も経て、1989年の『ANYTHING GOES』で舞台の仕事に出会うんですが、別に僕に才能があったとかじゃない。

 今のリーダー役も僕は地図が得意でも何でもないのに、蛭子さんが調べてくれないから、消去法で僕が調べているだけなんです(笑い)。ただし、あのバス旅だけはガチで演出不在というか、ルート選びも宿泊先も全部僕たち出演者が考えて決めていくんです。

 それまでのテレビの常識では、ここはカメラが回ってないから車でいいでしょ、ってなるところを、この番組のスタッフはそれじゃ面白くないっていっさい馴れ合いを拒否したんです(笑い)」

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