年明け早々のゴルフ界に激震が走った。松山英樹が渡米を前に今季の国内ツアーのメンバー登録を辞退。国内シード権を放棄して、米ツアーに専念すると発表したことに波紋が広がっている。
JGTO(日本ゴルフツアー機構)の規定では国内のシード選手には年間5試合の出場が義務づけられる。この規定は、昨年3月に突然設定されたもので、違反者には約100万円といわれる制裁金に加えて翌1年間のシード権停止という処分が下されることになった。
松山はプロ転向2年目の昨季から活動の場を米国に移した。そのため昨季も国内の試合には2試合しか出られず、規定に抵触して制裁金を支払っている。そして今季も「5試合に出られる確証がない」として、選手登録を見送った。
この規定は当初から「選手の海外挑戦の足かせにするためのもの」と陰口を叩かれていたが、今回そのJGTOのご都合主義に実力ナンバー1の松山が反発するという最悪の形となったのである。
松山の後見人で東北福祉大学ゴルフ部監督の阿部靖彦氏は、「出られるものなら出たいと思っても、今の時点では出場の日程を組めない。だから、メンバー登録をしなかったということです」とその事情を語る。
松山は2013年に4勝を挙げて賞金王となり、2018年までのシード権を獲得。米ツアー本格参戦を始めた矢先に国内での出場義務が厳しく強化されたのだから、規定は松山を標的にしたものと見られても仕方ない。
昨年の松山の米国での活躍は目を見張るものがあった。6月のメモリアルトーナメントで米ツアー初優勝を挙げ、上位ランク選手によるフォールシリーズの最終戦にまで進出。ついに日本人が世界で戦える時代が来たと、ゴルフファンの期待を膨らませた。