しかしJGTOとは温度差があった。米ツアーが終盤を迎えた同9月に、JGTOの海老沢勝二会長が出場義務試合に関して「スポーツマンならルールに従わないと」と発言。松山に国内ツアーへの出場を促した。JGTO広報はこう語る。
「今回の会員登録辞退は松山選手の強い意思を尊重しました。1人だけ特例を設けることはできません。規定は主催者や選手の意見を基に、理事会に諮り、総会で承認を得たものです」
JGTOは「規定は国内ツアー振興のため」だとしているが、ベテランゴルフジャーナリストは「ツアーを開催するスポンサーに気を遣ったのだろう」と語る。
「JGTOの主な収入源はツアー開催による収益で、ツアーが多ければ多いほど儲かる。しかしツアー開催には莫大な費用を負担してくれるスポンサーが必要となる。スポンサー企業は当然、トップ選手をできるだけ多く出してほしいと要求する。出場義務規定はその要求に応えるためでしょう」
しかし目先の利益にとらわれてゴルフの発展を阻害するなら本末転倒だ。すでに日本ゴルフ全体のレベル低下は始まっている。松山が昨年末に参戦した『ダンロップフェニックス』の結果がそれを証明した。
「本来、松山はこの大会も出場するつもりはなかったようですが、ダンロップが松山の契約先という事情で出場した。その大会であっさり優勝してしまったことには本人も戸惑いを隠していませんでした。米ツアーでなかなか結果が残せない石川遼も7月のセガサミーで優勝した。現在の日本の国内ツアーのレベルがうかがい知れます」(前出ベテランゴルフジャーナリスト)
※週刊ポスト2015年1月30日号