金の価格は2013年に続き2014年も連続して下落したが、2015年は一転して買いが優勢となっている。今春以降の金価格の動向についてマーケット ストラテジィ インスティチュート代表取締役の亀井幸一郎氏が解説する。
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アメリカの量的金融緩和が終了し、利上げ観測が高まり始めた昨秋、金は売り込まれる展開となった。多くの市場関係者や投資家の目には、金にとって心地よい環境が終わりを告げるかのように見えたのではないだろうか。
2014年11月7日にはニューヨーク商品取引所(COMEX)金先物市場で1トロイオンス(約31.1035グラム)=1130米ドルの安値をつけ、年末まで1200米ドル台前後で推移した。結果的には2014年は年間ベースで1.5%の下げとなり、1年間で28%値下がりした2013年に続いて、2年連続の下落となった。
一般的に米ドルが強い環境では、金は売られる。昨年9月以降は米ドルが強さをみせ、主要通貨に対して軒並み米ドルが買われる状況が続いた。他国と比較すると景気の回復は続いており、利上げ観測も追い風に、今年に入っても米ドルは引き続き強い。
ところが、2015年は年始から2月上旬まで、金が買い優勢の展開となった。米ドルが買われる一方で、金価格も上昇するという珍しい現象が起こっているのだ。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げをにらむ中、金は再び売りに傾くのではと見られていたが、予想を覆す形で金が買われるという展開が見られた。
さらに、1月15日のスイスショックが金市場にも大きなインパクトをもたらした。