かつての中国株は相場全体が右肩上がりで株価10倍を実現するような「テンバガー銘柄」も続出していたが、ここ数年は値動きの重い展開が続いている。そんな中国株に「6年ぶりの大相場が到来する」というのは、TS・チャイナ・リサーチ代表の田代尚樹氏だ。田代氏がその根拠のひとつとなる中国経済の「質的改善」について解説する。
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中国本土株を代表する上海総合指数は、2009年8月の高値3478ポイントを天井として5年に及ぶ下げトレンドが続いてきた。それが昨年7月後半から上昇トレンドに転じ、中国人民銀行(中央銀行)が金利引き下げを発表した11月から急騰。今年に入ってからも3400ポイント台を回復するなど、6年ぶりの大相場到来が現実となりつつある。はたしてその勢いは今後も続くのか。
足元の景気を見ると、決してよくはない。2014年のGDP(国内総生産)成長率は7.4%増と、四半期ベースで見れば、2010年第1四半期(11.9%)をピークに鈍化傾向が続いている。生産過剰とされる製造業の設備投資が伸び悩み、2014年の固定資産投資は前年の19.6%増から15.7%増に鈍化。不動産投資は2013年の19.8%増から2014年は10.5%増と大幅に落ち込んだ。輸出も欧州や新興国経済の不透明感から前年の7.8%増から6.1%増に低下している。
それら経済指標が今年大きく改善される見込みはほとんどなく、2015年の経済成長率はさらに鈍化して7%前後にとどまると予想する。
しかし、数字では表われてこない中国経済の質的な改善は大きく進んでいる。今後それが株価に反映されてくるだろう。