黒田博樹、新井貴浩らの復帰で開幕前の下馬評が高かった広島カープ。シーズンも後半戦に突入したが、なかなか波に乗り切れない展開が続いている。かつてカープを率いた指揮官・古葉竹識氏(79)が、今のカープ野球にもの申す。
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今年のセ・リーグは今までないほどの混戦模様ですね。カープにも優勝のチャンスは残されていますが、後半戦はピッチャーを楽にしてあげるためにも野手がしっかりと打ってやることがポイントだと思います。
しかし、カープは開幕前、あれだけ期待されていながら波に乗れない。私はこの理由は、今のカープが伝統を忘れてしまっているからではないかと思います。
カープの伝統は機動力。ランナーが出れば走ってくるぞ、と相手に思わせるところが強みでした。ただ今年はランナーが出ないため、それを武器にできていないのではないか。しかも今のカープには機動力でかき回せる選手が少ない。それも、混戦からなかなか抜け出せないでいる理由の一つかもしれません。
私は広島を預かって1年目(1975年)に、たまたまリーグ優勝させてもらいましたが、この時も機動力野球がセールスポイントでした。山本浩二と衣笠祥雄の中軸がよく打ってくれましたが、2人は足も速かった。その年の山本は首位打者になりながら24盗塁。衣笠も21本塁打を打ちながら18盗塁している。あと日本ハムから移籍した盗塁王の大下剛史が44盗塁と、主力がグラウンドを走りまくってくれたのが大きかったですね。