億を稼ぐ経営者たち。高い買い物をしても使い切れる額ではない。海外では、社長が社会貢献活動をする例も多いが、日本でも多くの経営者は自らや家族のため以外の使い道も見出している。
ファーストリテイリング会長の柳井正氏(66)は昨年9月、プロテニスプレイヤーの錦織圭が全米オープンで準優勝すると、ポケットマネーからポンと1億円の特別ボーナスを支給して世間を驚かせたが、社会貢献にも尽力している。東日本大震災の時には個人として10億円の義援金を送った。
教育支援にも熱心で、ハーバード大学を目指す日本人私費留学生のために奨学金制度を設立し、2015年9月からの3年間で約6000万円をポケットマネーから寄付した。母校・早稲田大学の国際寮「早稲田大学中野国際コミュニティプラザ」の建設費にも3億円を出した。
桁が違う寄付をしているのがソフトバンクグループ社長の孫正義氏(57)だ。東日本大震災のあと、なんと私財から「100億円」の寄付を発表。さらに、自らが引退するまでの今後の役員報酬を全額寄付することも表明した。その使途は自らが会長を務める東日本大震災復興支援財団に託している。
ヤオコーの川野幸夫・会長(73)は、1982年に長男が8歳で病死。1988年の株式公開の後、自らの持ち株の半分などを原資に「川野小児医学奨学財団」を設立している。亡き長男への慰霊の意味も込められているという。
川野氏は芸術面での社会貢献にも寄与しており、地元・埼玉県川越市で2012年3月から「ヤオコー川越美術館」をオープンしている。ニトリホールディングスの似鳥昭雄・社長(71)も、経営コンサルタントとして日本の流通経済に貢献した渥美俊一氏の東京・代官山の自宅を買い取り、記念館として公開する予定だ。