今年に入って失業率が低下し、アメリカ経済は回復基調に戻りつつあるという。しかし、実際にはそれまでが悪すぎただけであり、オバマの実績とは言えない。むしろ彼は経済の足腰をガタガタにしてしまったのだ。仮に前回大統領選(2012年)で共和党のミット・ロムニーが大統領になっていたら、景気回復はもっと早かったはずである。
オバマが知らなかったのは経済だけではない。外交も素人そのものだった。
アメリカはプーチンがウクライナに侵攻しても黙認した。中国が南シナ海の南沙諸島でサンゴ礁を埋め立て軍事施設を造っても、つい最近まで文句を言うこともしなかった。習近平をここまでつけ上がらせたのは外交的に引きこもっていたオバマなのだ。
その間、オバマが何をやっていたかと言えば、ゴルフ、ゴルフ、またゴルフである。2009年1月の大統領就任以来、200ラウンドを軽く超えている。なんと、前任者・ブッシュの8倍のペースだ。
経済的にも外交的にも世界一という大国の地位が揺らいだアメリカは、政治家も国民も堕落してしまった。
※SAPIO2015年9月号