ここ数年、日本で盛り上がるハロウィン。渋谷や六本木では10月31日に、仮装した若者たちが集結し、どんちゃん騒ぎを繰り返す…。マナーなきバカ騒ぎに、芸能人からも苦言が相次いだ。
《本来ハロウィンで仮装するのは小さな子供達で、大人がコスプレして我がもの顔でねり歩いたりするもんじゃないんですよね。(中略)公共施設や商業施設を汚したり、通行の邪魔になる様な行為に対していかがなものかと》(歌手の西川貴教)
《六本木行ってみて、世も末だと思った。日本の終わりを見たね》(おぎやはぎ矢作兼)
《ハロウィンの意味をはき違えている。もうハロウィンと銘打たない方がいいよ》(カンニング竹山)
お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣(35才)のように、臨時のゴミ拾いサークルを結成し、ハロウィンで汚れた町の清掃を呼びかける芸人も現れた。
先祖の死者を迎え、幽霊に仮装して食べ物を供えるという本来の「収穫祭」としてのハロウィンからかけ離れて定着した“日本流”ハロウィン。コラムニストの今井舞さんが語る。
「主催者もいなければ目的もない。一年に一度の無礼講イベントと化し、ただ騒ぐだけ。文化的な素地がなにもないんです。だから薄っぺらくて軽い。本来子供がお菓子目当てで歩き回るものを、いい大人が嬉々としてやってどうする。バブル期に戦闘服着てディスコでイェ~イと乱舞したあのノリを、今の若者はハロウィンに見い出したんでしょう。去年取材で行ったら、“写真撮って交換しましょう”というナンパがそこら中でありましたから。そのうち“ハロウィンベイビー”とか出てくるんじゃないですか。私は逃げるように帰りましたけど」
今井さんが最も危惧しているのは、この乱痴気イベントが犯罪に結びつく危険性を孕んでいることだ。
「通り魔の絶好のターゲットになりそうだなって。この日ばかりは、仮装の小物として銃だの刃物だのを持っていても怪しまれないですから。そのうちテキサスチェーンソーのコスプレで本物の電動ノコギリを振り回す狂人が現れるかもしれません」(今井さん)
実際、渋谷にいたジェイソンのコスプレイヤーの手には、オモチャのノコギリが握られていた。
宗教学者の石井研士氏によれば、戦後の日本に定着したイベントはその時代の社会変化の映し鏡なのだという。クリスマスは核家族の台頭を背景に一家団欒を楽しむ一夜として根付き、バレンタインは女性が社会進出して消費の中心を担うことで発展した。