ビジネス

カニ漁獲量が大幅減 ロシアに「カニ・ロンダリング」疑惑も

減り続ける毛蟹の漁獲量

 日本のカニが危ない。漁獲量が年々減り続けているのだ。違法な操業による「カニ・ロンダリング」もその原因のひとつと考えられる。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。

 * * *
 寒くなると、冬が旬の海産物にグッと味が乗ってくる。その花型といえば、やはりカニだ。だがここ最近、「カニよ! お前もか!」と言いたくなるような話を耳にする。近年、ウナギやマグロなどで起きた、”水産資源”問題がカニにも起きている。

 今年9月、北海道新聞に「毛ガニ漁獲量18%減 北海道・胆振の太平洋海域、2007年度以降で最少」という見出しが踊った。タラバガニやズワイガニと異なり、毛ガニは北海道では場所を変えながら、通年での漁獲ができる。秋は釧路と根室沿岸、冬は十勝沿岸、春はオホーツク、そして夏は胆振地区(噴火湾)だ。今年の毛ガニ漁は7~8月にかけての42日間行われたが、漁獲枠達成率が76%だったという。

 もっとも、同紙によれば「2007年度からの本格操業では11年度が最高の漁獲量で、漁獲枠いっぱいの370トンを水揚げした。ところが2012年度から漁獲枠を下回る300トン以下の漁獲が続き、2014年度は達成率90%、2015年度はさらに下回った」とあるから、そもそも設定された漁獲枠が生態系のサイクルに見合っていない。

 戦後、日本のカニ漁は漁獲高が活況を呈し、1968年には史上最高の11万7737トンを記録している。ところがその後漁獲量は落ち込み続け、農林水産省の漁業・養殖業生産統計では、2013、2014年と3万トンを連続して割り込んだ。

 現場でも対策をしてこなかったわけではない。北海道の毛ガニは1950~1960年代にすべてのメスと甲長8cm未満のオスの水揚げが禁止された。1991年にも毛ガニかごの網目を大きくするという”対策”は取られている。それでも現在まで、漁獲高は減り続けている。つまり、漁獲高に対して見合った規制対策がとれていないということになる。

関連記事

トピックス

靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン