「古い大塚家具の終わりの始まり」
「生まれ変わるための挑戦は、いったん死んで蘇ることに近い」
今年3月、経営権をめぐり父娘が激しく対立し、世間を賑わせた大塚家具。創業者の父、大塚勝久氏を会長職から引きずり落とした娘の久美子社長は、春から“新生大塚家具”を掲げ、父が築いてきた旧態依然のビジネスモデルの一新を計画してきた。
そして、出した結論が「高級イメージからの脱却」だった。11月4日に新宿店で会見を開いた久美子氏は、全16店約34万点に及ぶ展示家具の一斉売り尽くし(11月7日~23日)を大々的に発表。手ごろな中価格帯の商品を売りにした店舗に生まれ変わらせると意気込んだ。
記者から出た「父親との完全決別を意味するのか?」との質問には、苦笑いを浮かべながらやんわり否定したものの、冒頭発言のように「一世一代の大改革」を内外にアピールする狙いも透けて見えた。
なぜ、久美子氏はこのタイミングで新戦略を打ち出したのか。経済ジャーナリストの松崎隆司氏が推測する。
「騒動以降、久美子社長は自らが広告塔となって『おわびセール』を開催したり、お家祖移動を逆手に取った『自虐CM』を打ったりして、傷ついたブランドイメージや業績悪化を最小限に抑える“止血”に一生懸命でした。
その効果もあり、5~8月までの4か月間は店舗売り上げが前年同月を上回るなど業績は好調でしたが、ここにきてまた伸び悩んでいます。そこで、年末年始の稼ぎ時に向けて目玉となる巻き返し策、大胆な構造改革が必要だったのでしょう」
同セールは、高級ベッドや、タンス、ソファ、テーブルなどを最大50%オフで売り出す。「全店舗が空っぽになるのが理想」(久美子氏)と、“在庫一掃”を目指しているが、もともと一般家庭には手の届きそうもない高額商品が多いため、半額になったからといって飛ぶように売れるとは限らない。