だが、前出の松崎氏は、中価格帯をメインに舵を切った新しい店づくりのコンセプトには一定の評価を下す。
「今の時代は、核家族化が進んだことやライフサイクルが早くなっていることもあり、大塚家具に置いてあるような超大型の高級ダンスやソファはニーズに合わなくなっています。
そんな家具をショールームに寝かせておくぐらいなら、マンションに合うクローゼットや子供が汚しても買い替えが惜しくない価格帯のソファなどを揃える商品構成にしたほうがいいに決まっています。
また、久美子社長も構想を練っているようですが、インターネット販売やリユース、レンタル家具など、消費者の選択肢を増やす事業を始めれば、新しい顧客を掴んで業績を安定させることも可能だと思います」
いずれにせよ、久美子氏は目に見える形で速やかに結果を出す必要がある。
「大塚家の資産管理会社をめぐる勝久氏との“法廷バトル”は今も続いているし、勝久氏は大塚家具の筆頭株主という立場を守ったまま、7月には手作り家具や寝具、美術工芸品などを販売する新会社『匠(たくみ)大塚』を設立した。
久美子氏は否が応でもここで実績を上げなければ、『あれだけ偉そうなことを言っておいて、何をやっているんだ!』と父や株主との対立が再燃しかねない」(経済誌記者)
かぐや姫が挑む構造改革は、親子の“亀裂”をこれ以上深めないための正念場といってもいいだろう。