鈴木さんはさらに「日本は間違いなく包装大国。日本人ほど包装にこだわる人種はいませんね」と言う。たとえば缶の一部がつぶれた缶詰は定価では売れない。箱の角が凹んだ家電もそう。積んだ精肉パックのどれに指紋がつくか、ある流通業界の団体が実験をしたら、いちばん上ではなく、上から2、3番目だったという結果が出たそうな。

 牛乳パックも同じで、10代から高齢者まで、いちばん手前のは買わずに、2、3番目に手を伸ばす。理由を聞くと(いちばん手前は)「誰が触ったかわからない」と声を揃えるのだという。この潔癖性ともいえる感覚は、値の張る物に対してさらにエスカレートする。

 鈴木さんは「アメリカでワイシャツを買ったら、ハンガーから外して袋に入れただけ。『包んで』と言うと、有料のラッピングセンターを教えられた」という経験がある。

 ところが日本のワイシャツは首、背中、手首はボール紙で形を整え、箱に入れて包装紙をかけ、紙袋に入れて無料。

 こうした「思いやり」は機能的といえるか、それとも過剰か、意見が分かれるが、こんなこともある。

「大手化粧品メーカーは、ひと箱20kgの梱包で腰を痛める輸送業者を気づかい、15kgの容量にしたことが評価され、“物流大賞”を受賞しました。軽量化でいえば、ペットボトルもすごいことになっています。ミネラルウオーターの2リットル入りのペットボトルは32gだったものが、まず2年前にサントリーが29.8gに。すると今年、コカ・コーラは29gに落とし、キリンは28.9gに減量しました。もちろん安全性も強度も維持したままです」(鈴木さん)

 いずれのパッケージも、商品だけでなく、日本社会を包んでいたのだ。

(取材・文/野原広子)

※女性セブン2015年11月26日号

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