放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、ワイドショーと芸能イベントの関係性を解き明かす。
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在京局制作の、いわゆるワイドショーに芸能コーナーがなくなって久しいと度々書いてきた。各局の専属リポーターの中でも“芸能”担当の人は本当に仕事が減少して、系列局以外の地方局出演もOKという状態。その代わり、名古屋、大阪、福岡のテレビ局制作のワイドショーにはまだまだ芸能リポーターが仕切る独自の芸能コーナーがある。
とはいえ、それらの局がカメラを出して東京で開催されるイベントにまでやってくるかと言ったら、よほどのことがない限り、それはナシ。“配信”と言って、在京局のカメラが撮ったものを当日夕方から深夜にかけて延々流されてくる“素材”を編集し、独自のコーナーに仕上げているのだ。
だが、その配信素材というのは、イベントや会見の全編が流れてくるワケではなく、在京局の担当者がセレクトした部分だけが流れてくる。東京の現場で取材をしたリポーターらが、翌日の地方局出演のために夜、素材を見て、「話したい部分の配信がなかった」と落胆するケースも少なくないと聞く。
そして、在京局とて、最近はすべての現場にカメラを出しているワケでもない。以前は、朝、昼、夕方、すべての番組がカメラを独自で出していたものだが、いまは1局1台。しかも、予算の関係で、かなり厳選してカメラを出しているのが現状だ。
だから、イベント主催者側は、「ワイドショーのカメラに来てもらえる」タレントを第一に選ぶ。ワイドショー側からしてみたら、それはもちろん、数字が獲れるタレント。かつて、交際、破局、復縁ネタで延々引っ張っていた石田純一と長谷川理恵がイベントに週イチ以上の確率で出ていたのは、そういう理由だ。
そんな石田純一、長谷川理恵は、バブルがはじけてしまい、いまは、和田アキ子や美川憲一に代わって、すっかり“芸能界の御意見番”となったマツコ・デラックス、“お約束”の芸がなんだかんだ言っても数字をもっているダチョウ倶楽部、リポーターや共演者を巻き込んで長時間にわたり大サービスをしてくれる柳沢慎吾らが人気。
“お色気”部門では、かつての壇蜜に代わって橋本マナミが引っ張りだことなっている。
もうひとつ、民放局の場合は、“営業要請”といって、スポンサーが絡んでいるイベントには必ずカメラが出るし、本来は何らかのカタチでオンエアされるべきものである。