それが今では、「あ~あ、またこの季節がやってきたわ」と、さほどの感慨もなく、年の瀬を感じるのみ。私の周囲には、「ハロウィーンが鬱陶しくてしかたない」というかたがいます。私自身も、胸の奥深~い部分では、同感する気持ちがチラリとあります。
ですが、そうするともうひとりの自分が「新たな風物を否定したら、現世を楽しく生きていけませんっ」と発破をかけてくるんです。
その声に押されて、ハロウィーンの日はかなり頑張って黒いぴっちぴちのスーツに、白いウィッグをつけてみたりするわけです。黒無地のネクタイに、5本指がにょっきり見えるDAIGOさん張りのグローブも用意して。
「誰それ?」ですって? シャネルのデザイナーでファッション界の大御所、カール・ラガーフェルドさまですよ。
こうして時代の波に上手に揺られながら、やわらかな気持ちで現世を楽しむことが、心の若さを保つ秘訣ではないかしら。この話をすると、「じゃ、来世はどうなるの?」と聞かれます。そんな先のことはわからないのですが、イメージは楽隠居ですね。
現役を引退して心穏やかな毎日を送っているかたは、“来世”に近い気分で過ごしているのではないかしら。
そこが極楽浄土なのか地獄の1丁目かは、それぞれの感じ方だとは思いますが。
とにかく一度、“30才前の出来事は前世の話”と区切ってみてください。古い友達とと会って“前世”の話ばかりしている、なんてことに気づくかもしれませんよ。
私たちの“現世”は、まだまだ続きます。未来に向かって楽しみを見つけながら生きていきたいですね。
オバさん、万歳!
※女性セブン2015年12月17日号