ライフ

最近の40男 「若いですね」とのお世辞を真に受ける傾向あり

「40男はお世辞を真に受けやすい」と田中俊之氏

 中年男性のあり方をめぐる議論が盛んだ。最近の40代は若い(子どもっぽい)、アイドルに熱中しているのは中年ばかり、中年の多くは幸せを感じていないのではないかということまで論じられたりする。男性学の視点から男の生き方の見直しをすすめる論客で、『<40男>はなぜ嫌われるか』(イースト・プレス)著者の田中俊之氏に、多くの中年男性が夢見る若い女性との年の差カップルは現実的なのかについてきいた。

 * * *
――『40男~』の「大沢たかおだったら合格」という書き出しは衝撃的でした。

田中俊之(以下、田中):常勤する武蔵大学とは別に講義を受け持っている女子大で、40歳前後の男性についてどのような印象を持っているかと質問したことをもとにして書きました。リアルな生の情報をちゃんと載せて、男性に教えてあげたほうがいいと思ったんです。

――中年になってもイケメンなら可という意味でとってしまう人もいるのでは?

田中:「大沢たかおだったら合格」という言い方は、大沢たかおさんなら大満足という話じゃないんです。まあ悪くないと言っているだけ。女子大生からすれば、年の離れた人ではなく、若い男の子とつきあえばいいのですから当たり前ですよね。

――でも40男は、自分だけはまだ若いから大丈夫だと思っている人が少なくないですね。

田中:「若いですね」という若い人からの言葉はお世辞なのに、中年男の多くはその通りだと認め満足する。若い頃の僕は、そういうおじさんたちのことを、見え見えのお世辞なのに信じちゃってバカなのかなと思っていました。でも、あからさまなおべっかを、40男は真に受けやすくなってしまっています。その誤信を防ぐには、自分を客観的に顧みること、自分が若い頃に中年男をどう感じていたかを繰り返し思いだすしかありません。

――ご自身では、どのようにされているのですか?

田中:『40男~』の筆者であっても、よっぽど意識的に自覚を維持しないと難しいです。たとえば先日、学生から「メディアでよく取り上げられている先生と話せて、今日は嬉しいです」と言われて機嫌が良くなり、帰宅後に妻にそのことを話したんです。すると「あなたバカじゃないの? あなたの本に『中高年はお世辞を真に受けるバカばっかりだ』と書いてある」と指摘されました。なぜ嫌われるかを指南しているはずの当事者でさえ難しいですね。

――中年になっても自分の若さと若い女の子にモテようとこだわるのはなぜでしょうか?

田中:何者にもなれなかった自分でも、一発逆転して意味のある人生にできると安易に思いこんでいるからです。

 だいたい、若い女の子に価値があるという考えも、思いこまされているだけで、本当に「40男」を含む中高年は若い女の子を好きなのでしょうか? 日本に女性学を紹介した井上輝子先生がおっしゃるように、男性の評価は仕事上の経験と業績しかなく、女性は若さと美しさだけ、というのが日本の現状です。男性も女性も、その評価と本当に自分が欲しいもの、好きなものからは距離があるんじゃないかなと思いますよ。

――とはいえ、モテにこだわる気持ちは捨てられない。

田中:昔、モテたことがないのに、いま、モテるわけがないですよね。その事実は教えてあげたほうが、親切なんじゃないかなと思ってはっきりと書きました。

関連キーワード

トピックス

山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン